岡山大学大学院医歯学総合研究科ヒトES細胞倫理審査委員会 第2回委員会議事録
 
日時: 平成16年1月26日 午後1時〜3時
場所: 歯学部棟2階第1会議室
出席者:A,B,C,D,E,F,G,H
欠席者:なし
 
資料:第1回岡山大学大学院医歯学総合研究科ヒトES細胞倫理審査委員会 第1回議事録(案)
第1回議論の要点と合意事項のまとめ(案)
ヒトES細胞使用計画審査項目及び基準(素案)
科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会 特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会(第9回)
医倫理委員会ヒトES細胞研究専門委員会議事要旨
 
A : 時間も参りましたし,皆さんおそろいですので,第2回のヒトES細胞倫理審査委員会を開きます。
 まず最初に,今日初めて来られたG先生,はるばるお越しいただきましたけども,G先生は,2001年3月に本学を定年退官されまして,現在公立新見短期大学の学長をされております。同時に岡山大学の医学振興財団のお世話もされて,御多忙な中をありがとうございます。
 先生,委員の中で皆さんはこの前紹介したんですが,F先生は法学部。
F: 法学部のFです。
G: F先生ですね。
F: はい。
G: 分かりました。あとの方は分かります。
A : それではよろしくお願いします。
 まず,資料を確認していただきたいんですけども,事務の方から説明していただけますか。
事務担当: 書類がちょっと一部不手際がございまして,B先生の方に届いてなかったというのが今判明いたしました。今コピーをとりに行っております。
 事前にお手元に配付させていただいてるのが,資料1の1と1の2,1の3。これは前回の議事録の保存用と公開用と,それから原稿,3部お配りしております。それから資料2の方で,前回の議論のまとめ,これはA先生に作成していただきました。それから資料3として,審査項目とその基準案について,これもA先生の方で作成していただきましたものです。それから,資料4,資料5,資料6ですが,資料4として文科省の科学技術・学術審議会の第9回議事録,資料5として信州大学医倫理委員会ヒトES細胞研究専門委員会議事要旨,それから資料6として田辺製薬株式会社第1回ヒトES細胞研究倫理審査委員会速記録をお付けしております。本日お配りしておりますのは以上です。
A : はい,ありがとうございました。そのほかに資料7というのを机上にお配りしておりまして,1ページの紙がございます。
 以上の資料がB先生以外の先生方皆さん,届きましたでしょうか。よろしいですね。それでは,資料の確認を終えたということにさせていただきます。
 次に議事に入るわけですけれども,その前に,資料をお送りするのが随分ぎりぎりになって御迷惑をおかけしました。前回の会議が終わった後に,皆さんで合意した事項に基づいて,テープを起こして,それから議事録を丸めるというか,そういうバージョンを2つ作りました。それに加えて次にどういう議論をするかということの準備を始めまして,その準備がずれ込んで資料をお送りするのがぎりぎりになったということをおわびいたします。
 資料の中に,先ほど紹介がありましたけれども,文科省の専門委員会の議事録,これは現在まで16回開かれておりまして,そのうちの中の1つだけ,例えばこういう議論がされておりますということをご紹介するためにお送りいたしました。専門委員会の議事録は,文科省のホームページに入っていただきますとすべて公開されておりますので,必要な方は是非ダウンロードをされて,もし時間がありましたら全体をお目通しいただければと思います。ここで議論されたことが専門委員会に上がってどのような審議をされるのかということがはっきりしてくるので,非常に意味のあるものなんですけれども,その雰囲気を感じていただくために,一つ資料として第9回のものをお付けしたわけです。なぜ第9回かといいますと,ここでは信州大学における,これは具体的な名前を出して何ですけども,信州大学におけるES細胞倫理審査委員会の議事についての批判がかなり出ておりまして,我々がどういうように議事を進めればよいかということの参考になるという部分がございましたので,第9回の分をお付けいたしました。それから,その対象となった議事録として,信州大学の,このES細胞の倫理審査委員会の議事録ですね。それから,田辺製薬の議事録は,これも詳細なものが公開されておりますけども,それは非常によく審議をしてるというふうな評価を受けておりますので,その例として1回分だけをお付けしたと,そういうわけであります。
 それで,今日はまず前回の議事録から始めるわけですけれども,議事録をどのような形で残すか前回議論をいたしました。今回その議論を踏まえながら,ここに作ったバージョンがこれでいいかどうかということをもう一度確認していただきたいと思います。その前に,大事なことはこの倫理審査委員会はどのようなことを要求されてるのか,我々がどういう審議をしなくてはいけないのかということを,やはりもう少しコンセンサスとして委員会で自覚をしておいた方がいいのではないかというようにに私自身は思っております。そこで,皆さんお読みいただいたかと思うんですけれども,まずこの資料の4でお配りした第9回の専門委員会の議事録をざっと見ていただきたいと思います。ES細胞を用いる研究計画書は議事録が付いて文科省に出てるわけですけれども,菱山室長さんという方がその議事録の内容についての紹介をしております。これをご覧いただければ分かりますが,かなり詳細に委員会でどういう議論があったかということを全部資料として提出したうえで,ここでブリーフィングをしてるということがこれから分かります。例えば7ページあたりに,議論の中身でどういうやり取りがあったかということについてかなり,6ページから7ページにかけてですけども,批判がございまして,例えば,これは当然批判されてしかるべきだと思うんですが,使用責任者が倫理審査委員会の席にかなり座っていていろんな意見を述べていると,これはまずいということが指摘されております。それから,議論の中身で例えば,ある先生が意見が対立したまま席を立ってしまったというようなことがあったようでして,そういう違う意見が出たのに,その後に倫理審査委員会がそれを収束して何らかのコンセンサスを得るような努力をしていないという指摘があります。それから,信州大学の審査委員会の席である委員が,ES細胞自身に尊厳を認めて特別な扱いをするということは非常に情緒的な対応であって,意味がないのではないかという,これは委員個人の意見なんですけれども,そういう意見を出しています。私が信州大学の議事録をざっと見たところでは,コンセンサスとしてはむしろそうではなくて指針に沿った話になってると思うんですけれども,どうもその委員の発言の時間が長いということもあって,その委員がそういう発言をしたことに対して専門委員会の何人かの委員から指針の中身を理解してないとか,全部ずれているとかというような反応が出ています。例えば8ページの真ん中あたりに位田委員が,指針の精神としては,ヒトES細胞にも人間の尊厳をある意味で反映したような価値があるというふうに書かれているわけで,そこのところが理解されないということは審議を尽くしていないと判断するというようなことをしきりに言っておられます。このような形で我々の委員会が審査されるということが,この議事録を読むと非常によく分かってくるわけです。
 それから,例えば13ページあたりに行きますと,研究の妥当性ということも非常に厳しく要求されてるということが分かりまして,例えば勝木委員の発言のパラグラフの4番目あたりに,「使用する際には十分に再生医療に貢献できるものでなければならないといいますか,そうあってほしいと。それが尊厳を守ることだと私は理解しているので,信州大学の申請は,その辺が十分にまだ達成し得るだけの準備段階に達していない」と私は思うというようなことをおっしゃっております。つまり,信州大学の倫理委員会がある判定をして,まあこれならサイエンティフィックにやってもいいかなと思うことも,実際にはこの専門委員会においてチェックをされて,やはりそのサイエンティフィックな面での審査が甘いのではないかという結論を出されることがあるわけです。こういう状況ですので,委員の皆さん,時間の許す限り是非議事録に目を通して,どういうことが要求されるかということを整理していただければと思っております。
 それで,実はこの資料の7に今日お付けいたしましたのは,私のある種私的なメモ,取りあえず今の段階では私的なメモとお考えいただければいいんですが,前回の委員会を終えた後に,指針を基本にしながら先ほど申し上げました15回分の議事録を,斜め読みですけれども全体に目を通してみました。その目を通した中から,機関内倫理審査委員会ですね,私たちのような倫理審査委員会がどういう姿でなければいけないかということがそこにいろいろ書かれておりますので,そういう意見を抽出いたしまして,それをここにリストアップしてみたものなんです。最終的に皆さんの意見をお伺いしながら,ここでもういろんな修正をして,あるいは付け加えるべきは付け加えて,何かこういう,我々の任務としてはこういうことをやっていくとのコンセンサスがあればいいということで,そのたたき台であります。ちょっとざっと紹介いたしますと……
G: すみません,Gですけれども……
事務担当: 先生すみません,マイクのスイッチを。
G: これは文部科学省専門委員会議事録からの抽出ですか?
A : そうです。
G: 資料4ですけど。
A : 資料4だけではなくて,資料4は第9回目だけなんですけど,それの15回分を全部見ましてということです。よろしいでしょうか。
 実は私が注意しなくちゃいけないんですけど,委員長だけがしゃべりすぎる倫理審査委員会も減点の対象になりまして,皆さん是非よろしくお願いします。私はついしゃべりすぎる傾向があると思うんですけど。ただ,これはちょっと紹介しておかなくてはいけないので,続けさせていただきます。
 まず位置づけですけれども,専門委員会とIRB,IRBというのは機関内倫理審査委員会ですけれども,IRBの関係というのは,実はよく読んでみますと,専門委員会委員の間でも意見のニュアンスが異なっております。私は,ある種の審査を受ける方としてはそれは残念なことだと思うんですけども,現実には異なっているんです。ただ,そこにありますように,実際にはIRBの審議過程とか判定結果は専門委員会にチェックを受けまして,上下関係のあることは間違いがない。それはもうはっきり言われております。そのときの審査の基準というのは,指針の背景,精神,中身を理解して審査をする必要がある。禁止事項を守ればいいという単純な話ではなくて,一番の柱は,ヒトES細胞は人の尊厳を持って扱いましょうということ,動物の細胞とヒトES細胞は違うという認識が重要であるということは繰り返し言われております。
 それから,IRBの任務ですけれども,IRBは主体的に判断することを求められていて,IRBの段階でストップをかけるだけの自主的判断能力を持てと言われているんですね。つまり,げたを専門委員会に預けてはいけないということなんです。それから,IRBの個々の構成員は,この国が出した指針を読んで,自分が倫理審査委員会の委員であるという自覚を持って,この研究がどういうような研究を行おうとしているかということを理解したうえで審査する必要があると。IRBの各委員がそれぞれ根拠を持って判断した過程も重要である。指針に適合しているかどうかというチェックリストを作るのではない。専門委員会と異なる見解があるときはそれをきちんと書けばよいと,このように言っております。ただし,先ほどの例で見ましたように,異なる意見がある場合は,きちんと書いてもそれなりの批判があるという,そういう構造になっております。先ほど,委員長がしゃべりすぎてはいけないと言いましたが,結局議事録を読んで,ある特定の委員の意見だけが表にあってほかの委員の姿が見えないということは,問題だということです。特に機関内委員が主導的に物を決めるということは厳しくいさめられております。
 それから3番目ですけれども,IRBの具体的審査の流れ,やり取りがはっきり分かるような資料を提出する必要がある。どういう論点が出て,どういう曲折があってという現実の姿が見えるようにということです。詳細の度合いは明確な規定はされてないんですけれども,概略程度という話からほとんどテープを起こしたものに近いものまでいろいろな例があるようです。,田辺製薬の議事録は高く評価されていて,プロセスが分からない議事録は再提出を求められています。そのことからしますと,やはり議事録というものは余り手を加えないで,できるだけ詳細なものを出すということを専門委員会としては希望しているというふうに受け止められます。
 IRBの構成メンバーに関しましては,計画の科学的妥当性と倫理的妥当性の両方を審査するのであって,それに見合う委員によって構成される必要がある。議論の中に,細胞の専門家が少なすぎるのではという指摘を受けた例がありました。それから,構成員の中に機関関係者が多すぎてはいけないと,少なくとも機関関係者だけで結論が出せるような運営は不適切であると。委員は審議の過程で知識を深め,初歩的疑問を払拭することが望ましいと。これもかなり強調されておりまして,つまり委員会の審議の過程で,初歩的疑問はいいんですれども,その疑問がコンセンサスというか結論を得るまでにどのように理解が進んで最終的に判断をしたかということが見えないと,結局その委員は積極的に判断に参画していないというような評価になるということなんです。それは科学的な意味でもそうですし,倫理的な意味でもそうであると。内容が分かっていないような発言があるのは審査結果の信頼性に疑義を生ずるというのはそういう意味でありまして,発言があるということは,先ほど言いましたけど,発言があるということはいいんですけれども,それが変化して,理解して,そのうえで判断したということが見えなくてはいけないと,そういうことです。一般の立場についてもいろいろな議論がございまして,例えばこれは田辺製薬が自分の会社の事務関係にいる人を一般の立場として委員に入れてあって,それは不適切であるというような指摘がございました。それから,名誉教授は外部委員と考えるかどうかということも多少議論がありました。多くの場合はこうしなさいという結論までは出されておりません。ただ一応そういう議論があったということです。
 それから,重要な項目の判定に持ち回り審議をやった例がありまして,これは批判がありました。IRBの最終的な判定も,つまり個々のことについてIRBとしては,これはこれこれこういう判断をするということをきちんと文書にするということが求められております。つまり,例えばこれから具体的な審査に入ったときに,科学的妥当性はどうか,それからこれが倫理的に言ってこういう問題があって,じゃあその問題はこのように解決されたからこれでオーケーであるというようなことを明確に文書化して残すようにと。何となくいろんな議論をして,総体としてオーケーというようなことは雑に過ぎるということだと思います。
 私が抽出した限りはそういうことですけれども,今のこれについて何か御意見ございますでしょうか。
G: 一番最初の委員会に欠席して申し訳ありません。それで,この委員会というのは一般の立場の人を何人入れるとか,ちゃんと決まってますよね。それは満たされてるわけですね。
A : 前回の委員会で,まず最初にその確認をこの委員会で行いました。一応その時点ではすべて要件を満たしてるというふうに判断をいたしました。ただし,その場合の外部委員というのは,機関ではない,機関の外にいる人を外部委員としてカウントしておりますので,例えばG先生は外部委員としてカウントされて,H先生も外部委員,それからF先生も外部委員ということで,十分要件を満たしてるという判断ですけれども,非常に厳密な言い方をすれば,G先生は名誉教授でいらして,3年前まで本学の教授でいらしたと。それからF先生は,今回の使用機関は大学院医歯学総合研究科ですので機関外ですけれども,同じ学内なのでバイアスされた見方があるのではないかという議論が成り立たないわけではないと思います。
G: 分かりました。例えば田辺製薬の場合は神戸大学の先生が入られてますよね。田辺製薬と神戸大学というのは全然別ですから非常にいいと思うんですけれども,うちの場合は岡山大学という枠の中にかなり入っておりまして,1人だけ,Hさんだけが純粋の外部委員ですね。私も半分,何か白黒ちょっと微妙なところではないかとと思います。ただ,細胞の専門家として立場から,あるいは今新見公立短期大学ですし,財団法人の仕事もしておりますので,そういう意味ではかなり一般的な常識の線で発言させていただけるのではないかと思っておりますけれども。
A : この件について,ほかに御意見ございますでしょうか。
H: 前回から,自分がどういう立場でこの委員会にかかわるべきかということを多少考えたということも含めてお話しします。この初歩的な疑問を持っていてもいいんだけれども,それを審議の過程で深めていって最終的な結論に達していくという流れが見えることが大事だという指摘は非常に重要だと思います。私の場合特に専門家でもないということもあるので,多分倫理的な意味でも科学的な意味でも疑問を持つことが多いと思うんですけれども,逆にそれが,専門委員会の議事録の中で相澤委員が,単に指針に合っているかどうかではなくて,研究と社会のコミュニケーションを往復運動で作っていく中核として指針があるのだという発言があったので,それも読ませていただいて,自分の役割としては,むしろ疑問を持っているということがあってもそれを明らかにして,議事録が公開されるわけですから,一般の方は正にそういう疑問を持つであろうと,それが,理解していってコンセンサスに到達していくという流れを示すのが,専門家ではない一般の立場としてやるべきことかなというふうに考えております。そういう意味では多少審議の過程で足を引っ張るようなこともあるかもしれませんが,そういう役割だと思って御理解いただければと思います。
A : 今の御発言は非常に大事だと思います。私はちょっとこの問題は分からないから少し引いて,皆さんがそうおっしゃるんだからこの問題はよいと,ほかのところでコントリビュートしましょうという,そういう姿勢が問題だと思うんですね。私たち,その機関内にいるものは,やはりその専門が近いということでどうしてもある考え方の中に閉じこもってしまっている恐れがあります。それを全く別な視点からチェックしていただくということは非常に大事なので,是非積極的にそういう方向でお願いしたいと思います。審査は,もちろんある期間内に結論を得ることも大事ですけれども,もっと大事なことは,議論をちゃんと尽くして正当な審査をするということですから,是非そういう方向でお願いしたいと思うんですけど。
 そのほかに御意見ございますでしょうか。このあり方について。
 E先生,御専門の立場から。
E: 前回も似たようなところで疑問を呈しましたが,例えば,内容が分かっていないような発言があるのは審査結果の信頼性に疑義を生ずるというような言い方をされると,素人の立場からといって発言しにくくなりますね。
A : いわゆる一般の立場からというか,我々もまた例えば倫理問題について非常に初歩的な質問をすると思うんです。それでも,そういうものはできるだけ出すということが,社会的な責任だと思うんですね,この大学院医歯学総合研究科に存在する倫理委員会としての責任。だから,その責任を自覚してちゃんとやれば,まあ最後は専門委員会で多少批判があってもいいし,それは仕方のないことであろうというふうに僕は思ってますけど。だから,決して発言をするのにヘジテイトしないで,そういう発言も積極的にしていくということでいいのではないかと思っています。
 ほかにどうでしょうか。先生。
C: この4のIRBの構成メンバーのことなんですけども,機関関係者だけで結論が出せるような運営は不適切であるということですよね。この前議論がありましたけど,多数決でいくのかどうかとかいう,その辺をちょっと議論しておく必要があるんではないかなと思うんですけど。これを読ませていただいてそう思います。
A : 確かに今の御指摘は非常に重要なポイントでして,いろんな大学のIRBの規約を見てみますと,例えば3分の2にて議決するというような規約を持ってるところもありますし,ほとんど全委員の合意によってというような書き方をしてるところもあります。本研究科のこの本委員会の規約によりますと,これは過半数ということでありますので,やりようによってはほんとに機関内の委員だけで決定することができるということになってしまいます。そこが非常に問題でして,それもありまして最初のときに,実際の運用としてはそういうことはできるだけ避けて,すべてのことに可能な限りの合意を,全員の合意を求めていくということでやりましょうということを申し合わせたわけですけれども,問題は,そういうことでよいかどうかということですね。つまり,一番厳しく言えば,この規約では不適当だから,例えばせめて3分の2に規約を改正してもらいたいということを研究科教授会に申し出るということも一つの手段ですし,あるいはこの前の議論のまとめでは,できるだけそういう方向で努力をするけれども,最後は規約に従ってやるみたいな結論のまとめになっておりましたので,それをもう少し強い言い方にして,例えば3分の2の合意がなければ認めないというふうにするか,あるいはもう全員の合意を求めるというふうに明確に内規というか細則を定めるかということですけれども,その点について御意見を頂ければ幸いです。
 先生,いかがでしょうか。
F: 委員会規程をそのままにして内部の申合せで過半数じゃなくて3分の2にしましょうというのはちょっと無理な話だと思います。委員会規程を変更しないのであれば,内部の申合せとしては,今委員長が御提案された,可能な限り全員の合意を目指すけれども,最終的にはこの規則に従って判断をするというやり方をせざるを得ないんではないかと。ただ,本委員会で,やはりそれでは余りにも甘いだろうという判断があれば,医歯学総合研究科の方の教授会に対して改正のお願いをするという働きかけを行っていかなきゃいけないというふうに思います。
A : この件は非常に重要な問題ですし,具体的なフォーカスがはっきりしておりますので,できれば皆さんの御意見をお伺いしたいと思うんですけれども,いかがでしょうかね。
D: 規程はあるのかもしれませんけども,私個人として理解してたことは,ほぼ全員の委員で合意を得ることが大切だと思っていました。これは他の倫理委員会でもそうなんですけども,やはり規程はありますけども,ほぼ全員の合意を得る形になりつつあると思います。その理由は,一番いい審議をして一番いい申請をしたいという気持ちがあるからなんですね。いろんな方面から検討してほぼ完璧になったというものであれば,機関外に出したときも恥ずかしくないと思いますので,できればそのように運営していただきたいと思うわけです。代が替わることも考えていきますと,委員が替わったりとか委員長が替わることも考えていきますと,数字のうえだけで,過半数だけでオーケーですよというようなことが規程に盛り込まれているのでは,やはり心もとないところがありますから,より安全に,ほぼ全員の合意を求めるけども最終的には3分の2以上とかですね,そうした規程に変えていただいた方が確実だと思います。以上です。
B: この委員会の性格を考えると,やはり全員の合意を目指すというのが最終目標だろうと思います。途中で審議を打ち切らないで,つまり途中で採決をしないで全員の合意を目指すまで審議をするという前提の下で委員会を進めるべきだと思いますけれども,最終的な結論を下さざるを得なくなったときに,全員の合意ということに固執するか,半分にするか3分の2にするか問題になります。過半数ということを規約に残したままで委員の中での合意で全員一致というのは,やはりあいまいな部分が出てきますから,先ほどD委員の方から提案があったように,医歯学総合研究科に働きかけて,その辺もう一度,ここの委員会で審議した結果を提案して審議し直してもらうというのはいい方法かなと思います。
C: 私も全員の合意を得るというのが基本的な姿勢だと思います。ただそのように努力をしてもどうにも結論に達しない場合,最終的にどうするかが問題です。機関関係者だけで結論が出せるような運営は不適切ということになると今の委員会規程のままでは機関関係者だけで結論が出てしまいますね。
A : はい,出ます。
C: とするとその点をクリアするような制度にしておく必要があるのではないでしょうか。基本的にはとにかく全員の合意が得られるようにやっていくべきだと思いますが。
A : 今の御意見ですけども,研究科委員会の教授会の決議に基づいてこの委員会ができて,研究科長からこういう項目についてということで諮問を受けてるわけです。この委員会がこのような規約を持っていて,この規約では世間に十分に信頼を得ることができない,この規約を持ってること自身が信頼性を損なうと我々が判断するのであれば,研究科委員会に規約を変えてもらいたいというべきだと思います。もしも研究科教授会がそれはまかりならんということであれば,そのときにはそのままやるのか,あるいは全員が改正をしないようだったらやめると言うのか,それは別の問題ですけど。そういうことをするのが意味があるか,そうした方がいいかどうかということの議論だと思ってるんですけどね,私自身は。
 G先生,どうでしょう。
G: 私,最初御質問しましたけれど,まず構成メンバーについては,依頼が私にあったわけでして,これは研究科長なり,A先生が携われたかも分かりませんけれども,こういう形で選ばれたと。もしこれが合法的にもうこれでいけるということを,これは中山研究科長が判定するんですかね,あるいはどこかで判定しないといけないわけで,判定されてるわけですね,一応。そうすると,これはオーケーです。
 それから,2番目の問題で,審議内容についてはやはり原則として全員の合意だと私は思います。医学部の倫理委員会でも全員の合意で進めました。非常にもめた問題もありました。私が反対して非常にもめたのもありましたけれども,やはり飽くまで全員の合意ということが重要なんではないかと。特にこのES細胞については,やはり皆さんこの委員会での透明性を持った公平な討論というのが大切ではないかなと思います。
 それからもう一つ,このIRBのポジションというんですかね,C先生が言われたような形はちょっとおかしいんではないか。研究科長からこちらへ諮問があるわけですから,ここで討論した結果は研究科長へ返すわけで,それをまた医学部の倫理委員会なり何やらで審議されるというのは非常におかしなことで,むしろここでの結論を答申すればいいわけで。それでないと進まないと思うんですよね。進まない,めちゃくちゃになる。医学部の倫理委員会がまたこれを一から勉強し直してやるとか,そういうことはあり得ないと私は思います。
A : そういう構造にはなってないと思います。
G: ないですね。
A : ええ,ないです。この委員会は研究科のほかの倫理委員会と対等な立場にあるわけで,研究科長から諮問されて研究科長に答申内容を返します。研究科長がそれはそれで妥当だということになりますと,そのまま文科省の専門委員会に行くと,そういう構造だと思います。
G: 分かりました。そういう形だと私は思います。
H: 議論を尽くすということが基本姿勢であるということは私も全く賛成です。最終的に議決するときに,それが過半数か3分の2かという問題については,委員長を入れて8名という構成で,委員長に議決権があるかということもありますけども,過半数か3分の2かというのは,それこそ小数点をどうするかみたいなことによっては変わらないという話ですので,非常に大勢であればすごく意味があると思うんですけども,具体的な判断として分かりづらいという気持ちがちょっとあります。姿勢の問題としてはできるだけ硬く,憲法改正とかと同じようにということで理解できるんですけれども,それはできるだけ議論を尽くすということに表現されているのではないかという印象があります。
A : 今皆さんの御意見をお伺いいたしました。それで,基本的には全員の合意を目指すということは皆さんおっしゃって,それはコンセンサスだと思いますので,まずその一点は確認しておきたいと思います。
 それから,問題は,実際には例えばある1人の委員が強硬にあることを反対するという事態が起こったといたしますと,そのときにどうするかということなんですね。それで,もしも全員の合意ということをルールに,明確なルールで,もうそうでなければ一歩も先には行かないということにいたしますと,そこでもう議論はストップしてしまうということになります。ただ,それは必ずしも世間の,これはまあ私自身は個人的には,倫理委員会というのは世間の常識との折り合いの問題だと思っておりますので,世間の常識から見て,例えばある委員の意見が非常に偏ってる場合に,例えば7対1で議決をしたとしても,それは世間の理解を十分得られるだろうという事態もあると思うんですね。だから,そういう可能性を全部閉ざしてしまうのもどうかなという気はするわけです。
 それでは歯止めをどこに置くかということなんですけども,今のままですと最終的な歯止めは結局過半数ということになります。前回はやや詰めが足りなかったし,IRBに要求される条件というものの詳細を,私自身,十分理解しておりませんでしたので,やや議論が甘かったのかということで今回この議論をもう一度やってるわけですけれども,前回の申合せによりますと,最大限の努力はするけれども最後は規約に従ってやるとなっていて,結局過半数ということになります。そのときに,例えば8人中7人の委員の意見でそうなったとしても,規約は過半数だということになりますと,やはりその過半数ということが世間に独り歩きといいますか,あの委員会は反対意見があったのに過半数で物を決したということになるのではないかというのが私自身の危惧でございます。やはりせめて3分の2ということは明確にしておいた方がいいのではないかと思うんですね。つまり,申合せにせよ,絶対守る申合せとして3分の2ということを決めておくか,最低限ですね。あるいは,合意を目指すけれども,3分の2とか4分の3として明確に規約の改定をお願いするかということです。規約の改定そのものはお認めいただけるんではないかと私は思いますけれども,いかがでしょうか。
G: では,3分の2でいいんじゃないですか。それで,反対の方の意見も十分載せて記録に残すということでいいんじゃないですかね。ただ,私が先ほど申したのは,医学部の倫理委員会では全員の合意ということで進んでおりました。以上です。
A : 医学部の倫理委員会も,規約上はどうなってるんですか。分かりますか。
事務担当: 事務担当ですけれども,医学部はヒトゲノムの倫理審査委員会と倫理委員会と持っておりますが,議決方法は,審査の判定は出席委員全員の合意を原則とすると,どちらの委員会もなっております。以上です。
A : なるほど,そうなんですか。そうすると,どうしてこのヒトES細胞の規約だけ過半数ということが出てきたんでしょうかね。何か分かりますか。
事務担当: すみません,医歯学総合研究科の方にはもう1つ疫学研究倫理審査委員会がございまして,そちらの方は,出席委員の過半数をもって決し,可否同数ときは委員長の決するところによると規程上はなっております。ただ,このESの規程ができたのが平成15年4月ですので,そのときにどういった議論があってこうなったかというのは,ちょっと私はその当時は担当ではございませんでしたので,何でしたらまた調べて御報告させていただく形にします。
G: この専門委員会とかその文部省で決まってるわけじゃないんですね。3分の2というのは。この中のどこかの委員会で決められたのが今来たということですか,来てるということですか。それとも,国の何かの規程で3分の2以上と決まってるのか,そこを私はちょっとお聞きしたい。
A : 3分の2というのは,具体的な値としてはどこからも来てるわけじゃなくて,例えば今ここで,全員の合意ということをやらないとすると,全員じゃないけれどももう実質ほんとに大多数であるというような数として3分の2ではどうかという話をしてるだけです。指針に3分の2にしなさいというようなことがあるわけではありません。
C: きっかけを作ったのは私ですので,ちょっと発言させていただきますが,具体的な数字に関しては,機関関係者だけで結論を出したと,そういうようなことを言われないような形にしとく必要があると思うんです。だから,3分の2が,これがそうなるかなんかちょっと計算してみないと分かりませんけど,委員長を含む含まないによってまた変わってくると思いますけども。
A : 確かにそれもそうなんです。もうちょっと一般的に言えばたまたま,たまたまというか一つの例として,機関関係者だけで決まるのはまずいだろうということが出てきてるわけでして,例えば別な観点からしますと,機関外の人でも,例えば細胞の研究をやってる人だけで決まるとかですね。だから,どういう取り方をしても,過半数をやや超えるけれども比較的特定のグループだけで物が決まらないようにということだと思うんですね。それを4分の3にするか3分の2にするかというのは,これは選択の余地がある話だと思いますけれど。
D: 同時に,男性と女性の比のこともあると思うんですね。実際,本委員会では2人の女性しかいらっしゃいませんから,その女性のうちどちらか片方が必ず入るとかいうようなことも必要となってくるかもしれません。ただ,ほぼ全員が一致したとしましても,文科省の専門委員会の方で,不十分な審議ですということも言われかねないわけですから,数とかなんかに余りこだわっても難しい部分があるんじゃないかと私は考えますが,いかがなもんでしょうか。
A : 要するに今の議論は必要条件なわけです。つまり,ちゃんと審議をするというのは十分条件であって,その前にIRBが構成が要件を満たしていなければ,その中で幾ら審議をしてもやっぱりその審議のプロセスに疑義を招くだろうということだと思います。先生が今おっしゃった男性と女性,それも非常に重要なポイントです。そうすると結局,この委員会で現メンバーの数を考えますと,2人反対しても議決されるということはないようにとなるとどうなりますかね。
D: 4分の3ですか。
A : 4分の3ですか。もう一つ非常に初歩的な質問なんですけど,この規約で,過半数で決して,同数の場合は委員長の決するところによるとなってますけど,その最初の過半数うんぬんの中には委員長は入ってないんですか,これは。入らないものなんですね。入らないんですね。そうすると,いつも7人でまず決めるということですね,取りあえずは。同数になる以前の話。そうすると,やっぱり4分の3にしないとだめということですね。4分の3にしないと。2人……。
E: 過半数というのは民主主義の大原則で,国会そのものあるいは各委員会も原則として過半数。しかし,例えば憲法上の国民投票なんかの場合は3分の2とかね。その数字が出てきてるのはその辺りだと思うんですね。全員一致というのは本来あり得ないので,あうんの呼吸ですべて決めてしまうと,かえって長老支配のようなものになってしまう気がします。自由に自分の意思を表明できる,させるために,過半数でという規程があるわけですね。勿論,それをここで踏襲しなければならないという理由もないですけど。
 2つ分けて考えないといけないのは,1つは,最終的にES細胞研究にゴーサインを出すという最終段階での決定と途中の段階ですね。途中の,一つ一つステップを積み上げていくときにこの中で合意するときに,それを全部全員合意とかいうことはほとんどあり得ないので,分けて考えるならば,最終決定のときには例えば5分の4でも3分の2でも,多めに設定しといて,ほかは過半数で決すると。そういうふうにするとスムーズにいくのではないかと。飽くまで絶対に全員一致となれば,政府の委員会なんかで1人だけ頑強に反対して,結局何も決まらないということが何度かありましたね。
A : 今の御意見はもう一つ新しい視点で,要するに各ステップで議決が必要かどうか。実際にはそういうことが起こると思うんですけれども,例えば具体的な審査をするときに,科学的妥当性,例えば研究計画の,これは準備が十分なされているかとか,あるいはそれをやることに科学的な意味があるのかどうかということを一つ一つ議論をしていくわけで,それではこの議論はもういいですか,次に進みましょうかというときの,そういうことですね。
E: そうそう。
A : それについて何か御意見ございますか。
E: 倫理委員会疫学の方でよく問題になるというか。書類の書き方が下手といいますか,間違い,誤字脱字が多くて,そういうことを理由に次に延期しましょうと,もう一回出す,1か月後に出してくださいと言うかどうかですね。人によっては,もう文章の間違いだけだから,中身は問題ないんだからいいじゃないかと言う人と,いや,これはこんな汚い文章じゃだめだと。そこで意見が割れるわけですね。こんなのが途中の段階ですね。こういうときはもう過半数程度で行って,最終段階ではなるべく全員の合意を目指すと。しかし,どうしても合意を得られない場合のことを考えて,5分の4にするなり3分の2にするなりですね。そういうふうに考えたらいいんじゃないかと思うんです。
B: 委員会規程の第6条なんですけれども,問題になってるところなんですが,「審査の判定は」というのがありますよね。ということは,これは最終的な結論を出すときというふうに解釈されるんですか。
A : 確かに審査の判定というと,すなおに受け止めれば総合的な結論ということになると思います。でも,実際には途中のステップを積み重ねて初めて最終的な結論に行くわけで,途中のステップで意見が分かれたときにも,やはりそれなりの決着をつけないといけないと思うんですね。そうすると,そのことについて何の規程もないということになりますから,常識的に考えれば,総合判定がそうだったら途中のステップもそうであろうというふうに思われるのかなと僕は思うんですけど,どうでしょう。
B: では,その審査の判定が,そのステップステップで判定していくということも含んでいるのであれば,途中は過半数で最後だけというのは,規程に明記するのはかなり難しいですね。
A : だから現実的なところで,一つのやり方は,先ほど申し上げましたように,規程には例えば3分の2なり4分の3なりということで,少なくともこの中で2人の委員が反対すれば物が先に行かないというような安全弁をかけておいて,それで審議そのものは,途中のステップでもやっぱりそのぐらいの合意は必要なんじゃないかと思うんですけどね。
 僕は,先ほどのE先生とちょっと違って,多数決が一番の原理だから多数決でやっていいとは必ずしも思わないんです。というのは,先ほども申し上げましたとおり,私自身は倫理の問題というのは社会との折り合いだと思っておりますので,社会との折り合いは半分つければよいということではないと思うんですね。これは僕の個人的な意見ですけれども。やはりその3分の2なり4分の3なり,ほんとに大多数,実質的な大多数というところで折り合いがつかないようであれば,もうちょっと考えた方がいいというのが僕の意見でして,そういう意味では規約上は4分の3なら4分の3にしておいて,実質は,途中の過程は4分の3でもいいんですけども,最終合意は特に慎重に全員のコンセンサスを徹底して目指すということでどうでしょうか。規約は4分の3ということなんですけど。
   ちょっと付け加えますと,4分の3はできれば規約を改正するというお願いをしたいと思うんですね。先ほど申し上げましたように,この規約はホームページ上でも全部でるわけです。そうすると中の運営をどうするかということは普通は出ませんし,その内部で運用をどうするかということに関しては規約じゃありませんので,疑惑の目で見ればどうでもなるだろうと。そのときに運用の内規は変えればいいということになりますので,やはり規約においても,世間から,この委員会は大多数がそういう意見にならないと物は進めてないんだということが分かる方がいいのではないかというのが,特にこのヒトES細胞というのは非常に微妙な問題ですので,そういう扱いの方がいいのではないかというのが私の意見ですけど,いかがでしょうか。
G: 私はそれでいいと思いますけれど。
A : ほかに御意見ございますか。
D: 賛成します。
B: 賛成です。
C: 私もそれで結構です。
F: ちょっと確認なんですが,結局その委員長の御提案は,原則全会一致というか,原則全員の合意を目指すけれども,どうしても判断しなければならないときには出席委員の4分の3というのを研究科に対して改正要求をするという御提案と理解してよろしいですか。その場合に,4分の3は,それは委員長を含める4分の3ですか,それとも委員長を除く出席委員の4分の3で,同数の場合に委員長が決するというパターンにするんでしょうか。
A : 今事務担当さんからの説明によりますと,最初は委員長を含めないということですので,最初はだから7人のうちの4分の3ということで,それが同数……。同数はあり得ないね。だからまあ……
F: 棄権という事態はありますので。
A : 要するに委員長は入らないってことですね。
F: では,賛成いたします。
D: 今F先生が言われましたけども,出席者の4分の3ということですけども,最終決定ですかね,それに関しましてはやはり全委員の4分の3でなくてはいけないと私は思います。
A : そうですね。私もその意見に賛成いたします。
 H先生はどうでしょう,よろしいでしょうか。
H: 私もD先生と同じで,最終的にゴーかどうかという問題については,出席委員のということではちょっと足りないと思っていましたので,全委員のという意見に賛成します。それからその考え方として,2名が反対すればという形で定量的にということではなくて,定性的な問題だと思うんですね。つまり,反対なり賛成なりというのが,さっき先生がおっしゃったように,そのグループとして特定の利益を代表しているとかですね,そういうことがどうかという,議論の質が問題なので,そういう意味では,数に思いを込めるということは大事ですけれども,それで何かが担保されるということはないと思います。基本的な考え方としては,私もどちらかというとE先生と同じで,全員一致ということはないだろうしその方が健全だという気持ちがありますので,議論を尽くすという意味や,何らかの特定の利益のためにだれかが何か行為をするとか,そういうことがないということを表すために硬めの4分の3という数を出しているという理解で,賛成いたします。
A : 確かに今の御指摘は非常に重要なことだと思います。ただその質の問題というのはいろんな観点がありまして,ある発言がどういう質に由来するものかということは,これもまた非常に議論の対象なわけですね。そういうことはここで十分な審議時間を使って議論していく中で明らかとなるし,批判されるべきは批判されるべきだろうと思います。いずれにしても,規約上は数のうえからということですので。
 それではよろしいでしょうか。研究科長に対して,現在のこのヒトES細胞倫理審査委員会の国内の現状をいろいろ調査した結果,過半数で物を決するということは必ずしも十分な信頼を得られるとは思えない。したがって,全委員の4分の3をもって議決すると。それと同時に,全員の合意を最大限目指すという方針でやりますということで,議決の方法としてはそれでよろしいですか。
 では,そういう提案を研究科長の方にさせていただきます。
 それで,この辺りは非常に重要な問題ですので,もうちょっとやっておかなくてはいけないんですが,構成メンバーに関しましては,先ほども議論がありましたけれども,一応第1回目のときに確認しましたように,少なくとも表面的に見れば,表面的に見ればと言ったらおかしいですけども,一応要件を満たしていると。ただ多少,名誉教授,あるいは広い意味では岡山大学ということが多少のひっかかりはあるんですけれども,既にG先生は名誉教授になられて時間がもうたっておりますし,公立新見短期大学の学長という非常に公的な仕事にも就いておられるので,岡山大学の医歯学総合研究科の機関決定に強く影響されるとは考えにくいとも思われます。そういうことを含めて考えますと,機関内の人というふうには必ずしも考えなくてもいいのではないかという解釈ですね。それでよろしいでしょうか。
E: 私の分類が有識者になっていて,ちょっとごまかしではないけども,引っかかる可能性があるかなという気がするんですが。
A : 実は私自身も,最初リストを見たときに少し引っかかりを感じました。というのは,E先生は確かに専門分野は倫理学で学識経験者なんですが,医歯学総合研究科の教授なんですね,正式な。その人が研究科でなくて,有識者の項目に入ってるのは引っかかりがあるなと思うんですけど,この点について皆さんの御意見はいかがでしょうか。一つの考え方としては,やはりE先生はそこには該当しないので別な項目で入っていただいて,外部からもう1人委員を選んでいただくようにお願いするということも可能だと思うんですけど。御意見ございませんでしょうか。
F: すみません,E先生に関して,御自分の専門分野から独立して自ら判断をされるということで,我々としては特にそこを問題にする必要もないかなとは思うけれども,外部から見ればあらぬ誤解を招きかねないというのは確かにあります。また文科省の専門委員会の方からも誤解を受ける可能性があるということであれば,やはりE先生は機関内の人間として取り扱って,もう1名どなたか入っていただくという方が社会的なコンセンサスは得られるんではないかというふうに思います。
A : 私もやっぱりそう思いますね。最初に名簿のリストを見せられたときには僕もちょっと小首をかしげたけど,まあいいかということで過ごしてきました。けれども,実際に厳密に考えてみますとやはり適当ではないですね。それではそれもお願いをして,もう1名,正確に外部の有識者という方にお願いして,E先生には別の資格で入っていただくということにいたします。
D: 資料6をもう一度見直してみたんです。田辺製薬のものですけども。出席者のリストの使用責任者を外して考えますと9人の委員がいらして,社外から来てる方が4人,社内が5人という内訳になってるんですね。ですので,この今の,私どもの当の機関内を見ますと8人のものですから,もう1人外部から入っていただくと全く田辺製薬と同じ形の,9人で外部から4人というふうになりますので,よろしいんじゃないでしょうか。
A : 分かりました。それでは,その件に関してはそのように要望して,実現するよう努めたいと思います。
E: その際,外部から女性を選ばれた方がまたいいのじゃないか。規程上2人以上となってるから,2人無理やり入れたとかいうふうに思われないためにも,女性の方が好ましいのではないかと思います。
A : 分かりました。それも大事なポイントですので,そういう方向で努力をしたいと思いますけれども,御承知のようになかなか人材を探すのが大変でありまして,人材はいらっしゃってもお引き受けいただけるかどうかということがもっと難しいことでして,今の御意見を踏まえて,できるだけそういう方向で努力をしたいというふうに思います。
 では,次にまだ1つ残っておりまして,要は議事録の問題です。議事録に関しましては前回かなりいろんな議論をいたしまして,前回の議論は,テープをまず起こす,それからテープを起こしたものから,てにをはとかですね,どうしても分かりにくい部分を少しモディファイしたものが一番,このテープ起こし版というやつです,これはほとんどテープの生のままですね。それから,それを少し丸めた形にして,不適当な発言とか,あるいは御本人が申し出て委員会で認められたものについては削除をしましょうと。そういうことを修正をしたうえで議事録の一番ベースになる保存版ですね,保存版を作成する。それから,その保存版を更にトリミングをして,短くダイジェスト版にしたものを公開版にして,これをオンラインで公開すると。保存版は,事務の方で保存しておいて,正当な理由を持って開示の要求があったときにはそれを開示するというふうな話合いになりました。その時点では,文科省の専門委員会に提出するのもこの公開版でいいのではないかというふうに話をしたわけです。
 ただ,皆さん専門委員会の議事録をご覧いただけば分かりますが,相当審議の過程を重視することになっております。私自身,今ちょっとまだよく分からないのは,本当にこの保存版ではなくて公開版というものを出して,それで専門委員会の理解が得られるのか。痛くもない腹を探られたくなければ,最初から保存版というものを出す方がいいのではないかということです。一方で,先ほど,例えば私自身もかなり具体的な名前も出して余計なことも言っておりますし,それからこれはオフレコというふう発言もある。そういう部分は本質的な議論と関係がないところですので,皆さんの合意の中でその辺りを削除したものを文部省に出した方がいいのではないかという気もしてるんですね。つまりこれは前回の議論と少し違う提案というか,一つの考えですので,その辺りについての議論をしていただければと思っております。
F: 議事録を読み返したときに,自分の発言内容を見てみて,これは何なんだ,意味がよく分からんぞというのがやっぱりあるもんですから,そのような文脈の取れないというか,前後の関係もちょっとうまくつながってないような発言は,読む方も理解できないし,かえって誤解を招きかねないので,やはりこれはモディファイ,削除を含めて修正をしないと,とても公開に耐え得るようなものにならないというふうに思います。かえって痛くもない腹を探られるというのがありますので,私は早速今日自分のところの削除を求める提案を出そうかと思っておったところであります。
A : 分かりました。ほかに御意見ございますか。
E: F先生と全く同感です。原稿といいますか,テープを起こしたそのものを残しておいて,それはこの大学にいずれにせよ保存されるわけですね。
A : テープは保存しないと前回決めたのではないでしょうか。要するに非常に繰り返しの発言とか,それから例えば個々の大学の名前を挙げてその大学を批判してるような内容とかそういうものは,先ほど言いましたように,これは不適当であって削除するということが決まりますと,保存版にも残さないというのがこの前の議論だったと思うんですね。保存版というのはそういう,最小限ですけれども,削除すべきは削除したもの,それが保存版という意味なんです。ただその場合でも,削除要求がなければそれは全部残りますので,そこがかねあいの問題だと。
D: 専門委員会の中で,信州大学についていろいろ審査してる話がありましたけども,その中で,昔の議事に関するテープを紛失しているので詳しい議事録が出せなかったというようなことがあれこれ書いてありましたよね。つまり,場合によったら過去にさかのぼって詳しい議事録を出すということもあると思うんです。そういうときに,テープはもう意図的に古いものですから消しましたというふうに言ってしまうのも,場合によってはまずいときもあるんじゃないでしょうか。
E: テープを起こしたものをそのまま保存しておいて,最終的に,いざというときには使えばどうですか。文科省に提出するものなりホームページに載せるものなり,それはもう差をつけない方がいいのじゃないかと。違いがまたいつか指摘される可能性もありますし,毎回自分の発言を訂正しようと思ったら大変ですね。そのことも考えていただければ。
A : ということは先生の御意見は,要するにテープを起こしてミニマムの修正をしたら,それを文科省にも提出するしという,そういう御意見ですね。
E: そうです。公開もするし。しかし,その段階でおかしなところはもうきちんとするといいますか。
A : 今のは削除してくださいという要求は入れたうえでのバージョンでしょう。
E: もちろんです。少なくとも,差があると余計におかしなことになる可能性があります。
A : そこが今日お考えいただきたい一番ポイントなんですね。私自身のちょっと個人的な意見を言いますと,議事録は可能な限り詳しいものを洗いざらい出す方が楽ですし,結局は理解を得やすいと思います。
 もう一度整理して言いますと,私の意見は,テープを起こして,最小限の,要するに文脈が通る,それから余りに不適切な言葉は削除する,繰り返しとか,あーうーは削除する。その最小限のモディファイしたものを議事録として残す。そうすると,それはテープを保存していても齟齬はないし,大きな抜けもないと。文科省が議事録を提出しなさいと言ったら,その議事録を提出する。ホームページ上に公開するバージョンに関しては,これは抄録で,そこからもう少しダイジェストにした形にしないと,余り長くてもどうかなと思いますので,それはやる余地がありますけど,文科省にはもう議事録そのものを提出する,そういう考え方です。
G: その場合,そのテープから起こした原稿を各スピーカー,話された方が一応目を通された後でそうされるわけですね。
A : そういうことです。今回もしたがってそれをお送りして,同時にお送りしてありますけども,実際に議事録,これは議事録として確定しますよというときには,いつも両方をお送りして,それぞれチェックしていただいて,もうちょっと修正部分,こういうところは修正しすぎであるとか,あるいはこういうところはもっと加えてもらいたいとかという御意見を伺ってからということ。
D: 実は私も文科省のホームページに入ってあれこれ見てるときに,たくさんのページがありますと読むのが大変なんですね。ですから,ウェブで公開されるのはこちらの資料の2にありますような1ページだけのものを,非常に簡略化されたものを公開されておいて,文科省などに提出する議事録の方は詳しいものをというふうにしていただければと思います。同時に,今G先生の方から言われましたけども,非常に詳しい,テープ起こししたものを各委員が見ていくというのも確かに非常に大事なことだと思いますけども,これはまた資料が厚くなりますしけっこう大変なので,今たまたまふっと見たらICレコーダーを使われてますよね。これでしたら,うまくいけばCD1枚ぐらいに濃縮して焼くこともできる可能性もあると思うんです。そういうものであれば,CDでしたら安いものですから,そちらの方で配っていただいて,それを自分で聞きながら,自分の場所を探して直していくというのもいいかもしれません。ただ,これは逆にインフラの面で難しい問題もあるかもしれませんけども。
A : その辺りは事務サイドは対応できますか。
事務担当: CDに焼くということですかね。メールではとても容量が大きくて送れません。
A : 声として配付されるかということでしょう。
G: やはり文章にして送っていただく方が直しやすいですね。声というのは聴き取りにくいところもあるし。それぞれ聞いた人,私なんか耳が遠くなってるからなかなか聴き取れないところがあるかも分からない。
A : テープおこしは,今回は事務担当さんが正月休みを削り込んで,大変に頑張っていただいたんですけど,この次からは民間にやっていただくことになっております。
H: 今2つの問題があると思うんですけれども。1つはどういう形で公開するかということと,もう1つは修正手段のルール化です。最初の公開の問題については,今まで出ていたように,べたべたのテープ起こしを保存するものと,それからある程度修正を加えたものを公開すると。公開については,私はホームページ上は,自分が様々な審議会なんかのことを勉強するときのことを考えますと,さっきD先生がおっしゃった,1枚物程度のもの,要旨というものもあればそれでざっと見ていけるからいいんですけれども,ちょっとここは詳しく知りたいなということが必ずありますので,その際に議事録が公開されているかいないかということは,印象としてかなり違うんですね。議事録が公開されてるものに対して何となくやっぱり好感を持ちますので。ですから1枚物程度のものと,それから必要な人のためには一応全体もあるという形でホームページには公開して,その議事録の詳細なものと文科省に出すものは同じという形がいいのではないかというふうに思います。修正については,どういうルールでやるかということがあると思うんですけれども,例えば議事録の検討をこういう形でこの委員会でやった場合に,それがまた録音されて残っていくということになりますと,ここの部分を直してほしいとかという議論が残るということ自体がおかしいということになりますので,その辺は手段をルール化するということは必要かと思います。
G: さっき言い忘れましたけど,やはりテープでは,今日は委員長も「発言」というところを間違えてますけど,漢字なんかが分からないわけですよね,正しい漢字かどうか。だから,文章にしてちょっと直させていただく方がいいように私は思いますけど。
A : まず皆さんにお配りする資料のありようですけども,やっぱり声というのは少し技術的な対応,例えばコンピューターのタイプを合わせるとかいろんな問題が生じる可能性もあるし,それからプリントすると確かに紙の無駄なんですけども,斜め読みもできるし全体を見ることができますので,当面プリントしたものでということにさせていただきたいと思いますけども。もしもD先生が声の方がどうしても欲しいということであれば,何か対応ができるかもしれませんよね。その方が先生は便利だとすれば。
E: 声を送ってもらっても,どうせ活字にするならば,それはこちらとしては大変ですよね。だから,事務担当さんの方で,あるいは業者の方でやっていただいた方がいいです。私が言いたかったのは,添付メールの形で内容を送ってもらえば,それに訂正したものを送り返すと。いちいちコピーしてこれを出すのも大変なので,そうしたらどうかなと思って。
G: どっちでもいいですよ。添付書類で送っていただいてもいいし。
E: その方が楽。
A : 事務方としては当然メールの添付でお送りする方が楽でもあるし,早いんですね。だけど,結局そうすると,先生方に自らの紙を使ってプリントしてもらわなくちゃいけないので,手続も……
E: それをメールで返せば。
A : それでそうされるんだったら,それはもうその方がいいんですよ。それでちゃんと見ることができれば。
E: 例えば今はもう赤線するようなソフトもありますから,そうするなり,もう出来上がったこれでお願いしますというので……
A : だからそうすると希望でいいですか。つまり,できればプリントでない方が,資源の無駄遣いもないですし送るのも早い。だけども,やっぱりどうしても自分はプリントを見たいし,でもそれを印刷するのも面倒だから印刷したものを送ってくださいという委員にはそれをお送りするということにしましょうか。それが1つですね。
 それからもう1つ非常に大事な問題は,H先生が指摘された,修正の議論をここでやってそれが残るというのは何の意味もないではないかというのは全くそのとおりでありまして,したがってそういう意味もあって皆さんに,修正がある先生はあらかじめお送りくださいというふうにお願いをしてあったんです。ただ,お忙しくて全部読んでいただけなかったと思うんですけど。つまり,修正に関しては議事録を作るプロセスだというふうに理解して,委員会の外でやるということでいかがですか。それで最終的に,こういうバージョンの議事録を作りました,これを総体として承認されますかということで,それで承認すると。しかし,実際にはここで顔を合わせてやらなくちゃいけないとすれば,それはそのデテールに関しては議事録の作成過程ですので,委員会が始まる前にエキストラでやると。総括を委員会の中で,最終的に修正された議事録について,よろしいですかということで承認するということであれば,詳細は一切委員会の中に入らないと。そういうふうにしないとおかしいですよね。
 繰り返し言いますけど,修正はほんとにミニマムにしたいと思うんです。別にやましいことは何にもないわけですのでミニマムにしたいと思いますから,発言そのものも,私もそういう努力をしたいと思いますけども,できるだけ,後でどうしても削らなくちゃいけない発言は少なくしようと思っております。
 そうすると,よろしいでしょうかね。今の皆さんの御意見をまとめますと,まずテープを取ります,それからテープを全部,一字一句起こしまして,それでこちらの方で,通常私と事務担当さんの方でミニマムに手直しをしたバージョンと,それからテープを起こしたものを委員の皆様にお送りして,そして不適当な部分とか削除してほしい部分を集めて,そして皆さんで合意ができればその部分を削除したものを議事録とする。そして文科省にはそれを提出する。そこまでよろしいですか。
H: その修正の際に,一つは細かいところですね。例えば言葉遣いみたいなところで,ちょっとここは直したいというふうな。それは多分一方的に事務担当さんの方に,これでお願いしますというふうに言っても差し支えないと思うんですけれども,多少内容にかかわる部分が出たときに,それは事務局との1対1のやり取りでいいのか,こういう理由でここをこういうふうに直したいんですということをメールか何かでほかの先生に一応お知らせするか,若しくはそれを事務局の方で一覧表か何かにしてくださるというような作業が必要なのかというところは,確認しておきたいと思います。
A : それは一番最後の手段を採るべきだろうと思っております。つまり,皆さんからそういう御意見が寄せられたものを一覧表にして,そしてこの次の委員会の始まる前に,前回の合意によりますと,みんなでそれが妥当であるかどうかを一応判断するということですので,その場で一覧表でざっと見ながら判断をして,そして決めるということになると思います。
E: そのやり方ですけども,例えばいちいち何ページの何行をどうしてこうしてというふうにやるのか,もう出来上がってこうしたいというのを,自分のところだけ,全部送ってもらったものの中のですね,訂正して送り返して,それを全部事務担当さんの方でまとめられて,こうですよと,それでどうですかとしたら早いですね。
A : 是非そういうふうにしていただければと思います。
G: 今Hさんが言われたこととE先生が言われたことで,やはりその修正はここで,非常に大きく内容が変わるような場合は,やはりみんなの同意というのかな,が要ると思うんですよ。だから,早くどんどんどんどん直してしまってもしょうがないかなと思うんで,二重手間になるんではないかな。むしろ,次の委員会の頭で,ここで,こういうところをこういうふうに修正したいということをみんなにやはり同意を得るというのか,伝えるということは非常に重要なんじゃないかなと思うんですけどね,そこは。それで最終版を。どんどん直したものをいちいち事務担当さんに送って,直してこられて,また変えるという。またここで何かちょっと議論があってまた変わるとなると,非常に事務担当さんがしんどいんじゃないでしょうかね。そんな思いますけど。
A : どういう直しがあるかということなんです。どちらが簡単でどちらが能率がいいかということなんですけども,例えばある文章,あるワンパラグラフの発言があったときに,全体の話の趣旨をより通すために文章をかなり大幅に,そういうことも許されると思うんですけども,例えば前後が換わるとかね。極端に言えば前後の文章を入れ替えるとか,そういうことだってあり得ると思うんです。そうすると,その前後の文章のつなぎが変わるので接続詞もみんな補わなくちゃいけないと。そういうことをこの場で口でやりながらやってると,相当時間がかかるだろうと。今E先生が言われたように,ワープロソフトでとにかく修正部分を明記しながら,ここが修正されましたということができますので,そういう資料作りをやっぱりあらかじめやっといた方が能率的なんじゃないかということなんです。もちろんその場で追加があってもいいんですけれども。そういう意味であらかじめお送りくださればという,そういう意味です。だから,どちらも併用してやっていけばと思ってるんですけど。
G: 分かりました,了解しました。
A : よろしいでしょうか。それからもう1つ残ってる問題。先ほどH先生が言われてた,オンラインで公開を,簡単なバージョンプラス詳細なものも同時に載せた方がいいというお話です。これには多分一長一短がありまして,最終的には公開の方向に進むべきだと思いますけれども,非常にデテールのものが出たときに,世の中というのはいろいろな人がいますから,何かそれをきっかけに,あげあしとりのようなことをされるという可能性もないわけではないと,僕自身はちょっと危惧してるところがあるんですけど,その辺りはどうでしょうかね。
E: A先生のおっしゃるとおりだと思います。そして,世間にはそういう方がいらっしゃるという御発言自体もまた,私のことではないかといって問題にされてしまう可能性がありますね。
A : つまりもうちょっと踏み込んで言いますと,例えばある委員の発言というのは,一応匿名にしましても,話の流れとか内容をずっと見ていきますと,委員というのは,例えばA委員はずっとA委員として発言しますので,フォローしていくと大体特徴でだれが何を言ってるかということは分かっちゃうわけですね。そうすると,特定の個人を攻撃したり誹謗したりする材料になり得るという面もないではないんですよね。そういう意味からすると,もうちょっと丸まったような議論で,議論の流れは分かるし,本質的にどういうことを議論したのは分かるけれども,細かい発言のニュアンスがだんだん消えるような,一般に公開するものとしてはそういうバージョンがいいのかなというのも一つの考え方ですね。ほんとにそれが僕は世の中としていいのかどうか分からないので,ここで御意見をお伺いしたいんですけど。実際問題としては,やる方としては,2つのバージョンを作るよりはバージョンは1つの方が有り難いということはあります。いかがでしょうか。
 C先生,いかがですか。
C: 先ほどE先生が言われたように,やっぱり中には,今A先生が発言されたこと,それ自体を取り上げてまた何かしようというような人も,それはおられる可能性はあると思います。
H: 質問なんですけれども,今回資料で頂いた,専門委員会なり,あるいは高く評価されているという田辺製薬のものは,これはオンラインで公開されているんですよね。
A : そのとおりです。これはそのまま取りました。
H: それはつまり,そういうものをオンラインでも公開しているということが公開性として評価されているという意味ではないんですか。そういう部分もあるのかなと思ったものですから。
A : それは正確には分からないんですけど,恐らくそういう面もあると思いますね。だから,高く評価されたからそれでもうすべてオーケーというわけではもちろんないんですけれども,少なくともその高く評価されてるという中に,詳細な議論をして,詳細な議事録を取って,そしてそれをオンラインで公開してるということがみんな入ってるんじゃないかと思いますね。例えば信州大学の印象が悪かった一つの理由は,初期のころにというか最初に簡単な議事要旨しか提出してなかったんですね。だから議論の過程が全然分からないと。それを,議事要旨じゃなくて議事録を提出しなさいということをして,そして議事録を提出したら,専門委員会から見て非常に不適当な議論があったということの,その二重の意味です。それから東京大学は,伝統的に議事要旨がほとんどで,ほんとに簡単な議事要旨しか出してなかったんですけども,一部の倫理審査委員会については議事録を出すようにということを強く言ったんですけども,結局は出さなかったんじゃなかったかしらね。
E: 今の,インターネット上でどこまで公開するかというのはけっこう難しい問題なので,今回だけで決着はつかないかもしれないですね。また次回でも話し合うということにして,提案が2つあります。
 まずオフレコ,さっきも言いましたが,オフレコでお願いしますと言った場合は,そのようになるのかどうか。それでも載ってしまうのか。この点をはっきりさせといていただければ有り難いです。もう1つは,この訂正をいろいろしてきてるんですが,漢字の間違いとかも含めてですね。1回やってみたらどうでしょうね。そうすると大体感覚がつかめると思うんですね。いずれにせよこれは訂正しないといけないわけですから。今はもう皆さん,恐らくメールではもらってないのでこれに書いてきてらっしゃるかと思うんです。
A : 分かりました。それでは,インターネット上でどういう形で公開するかというのはこの前もちょっと議論が出ましたけれども,必ずしも今すぐ公開するということではなくて,準備ができたら公開するということでいいと思うんです。今の段階では,例えば先ほどの1枚の紙を公開しておいて,そしてその詳細な部分についてどの程度のものをするかということは,例えば何か月のうちにだんだん決めていけばいいという部分もございますので,E先生の提案どおり,実際にちょっとやってみてということで考えたいと。それでよろしいですか。
 オフレコに関しましては,私自身はやっぱり,オフレコというのは大抵今まで見てますと,どうしてもそこがなければ議論が進まないというような話ではない,やや横道にそれたようなお話でございますので,オフレコということに関しては原則としては認めていいんじゃないかと思ってはいるんですけど,この件に対して御意見ございますでしょうか。
E: オフレコだと言ったとしても録音されるわけですが,こちらでプリントアウトする段階で……。
A : だからその場合は,もしここでオフレコと本人が言った場合には削減してもいいんじゃないですか。原則としてですね。ということであれば,記録したテープを起こした段階では,それはもちろん全部載っております。それを議事録にまとめるバージョンのを作る作業のときに落とすと。そうすると,皆さんのところにはオフレコの部分が載ってるものと載ってないものが行きますので,それを見て,これはオフレコと言ってるけども削除するわけにはいかんという御意見があれば,そこでまた復活する可能性もある,それはもうここでの話合いによるということだと思います。よろしいでしょうか。
 それでは,この委員会を最初想定してたよりももっと慎重にやるべきだということで,もう一度前回の議論のほとんどを繰り返さざるを得なかったために議事があんまり進まなかったんですけども,1ページ分お付けした,前回の合意事項というのがありますよね。資料2ですかね。これについていかがでしょうか。一応,こういうものを毎回作って,これだけは決まりましたよ,もうここからは同じ議論は繰り返しませんと。もちろん深める必要があるときは別ですけども。そういう意味で作ってみたものです。
 これは議事録をざっと見ながら,こういうことが決まったのかなというのを書いてみたんですけども,最初に委員長と副委員長を選出したこと,それから倫理審査の手続の流れを確認しました。本委員会の構成が指針に示された条件に適合していることを確認した。ただし,これは今回やや修正があるということでございます。議事録の公開について以下のような方針を採ることにした。これについても修正があることになります。それから,議決に関してもここにありますように,書いてありますけども,これについても今日の審査でやや修正を要するということになりました。6番は,1件の審査申請が出てることを確認した。7番は,基本的な進め方として,まず審査すべき項目及びその基準を定め,そのうえで具体的な申請に対する審査に入ることにしたと。それから8番は,人の尊厳とは何かについてある程度の意見交換を行った。9番は,ES細胞の生物学的特性について解説が必要かどうかということをお尋ねして,それは当面はなくて,そのまま先に行って必要に応じてやりましょうということになりましたと。
 これだけですけど,何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 じゃあ,これをお認めいただいたということで,これは正式に記録として残しておきます。
 既に,3時までの予定で,あと5分しか時間がないんですけれども,まず一つはこの次の開催日を決めなくてはいけないということと,もう一つは議事録の修正ですけれども,3時から予定のある先生がございますのでここで今やっておられません。皆さんにそれぞれお持ちいただいたものをここで出していただいて,そしてそれを一覧表にしてまた皆さんにお送りして,最終的に集まって決定するのはこの次の委員会の冒頭ということにしたいと思います。いかがですか。それでよろしいですか。
 それではそういうふうにさせていただきまして,今日の議事録に関しましては今日の話合いに基づいた方法で作ってみまして,また皆さんにお配りして,次回委員会の冒頭に,第1回目と第2回目の議事録を同時に処理をすると,そういうふうにしたいと思います。
 それではあと次回の予定を決めて散会なんですけど,その前に何か,こういうことを言っておきたいということがございましたら。よろしいですか。
 それでは,次回の予定について,事務担当さん。
事務担当: 次回の予定ですけれども,月に1度程度ということでございますので,2月の最終週,2月23日月曜日か,27日の金曜日の辺り,午後あたりで,皆様御都合はいかがでしょうか。
D: 23日午後は,すみません,入試の関係と,やはり病院の運営委員会がありますので,できたら避けていただきたいんですが。特に入試関係は同じ時間帯で重なってると思います。
事務担当: 27日の午後はいかがでしょうか。
B: 月に1度ある県の公害審査が14時から大体2時間ぐらい予定されてるので,この時間帯は避けていただきたいと思います。
E: 私も27日は留守です。23日はいいです。
A : D先生,入試関係は時間帯はどうなんですか。
D: 1時半からとなってますので,多分C先生もおられたんじゃないんですかね。C先生はないんですか。
C: 入試ですか?。
D: ええ。希望者があればでしょうけども,多分今のところないかと思いますけど。御存じないですよね。多分私だけ都合が悪いのかもしれませんが。すみません,同じ23日にあったとして,入試がないとしてでも,15時からはやはり病院運営委員会があると思います。大体2時間で終わるときもありますし,2時間を超えるときもあります。
A : そうすると,23日の1時から3時でいかがですか?よろしいですか。それではそういう風にやって頂きましょう。
A : 次回は少し中身に入っていきたいと思います。それで,ここに素案ですね,資料3ですが,このヒトES細胞使用計画審査項目及び基準と書いてある素案です。これについて具体的に入っていきたいと思います。今日いろいろお話ししましたように,専門委員会の議論を見ていますと,私たちの委員の一人一人が,人の尊厳,ヒトES細胞にどういう尊厳があってどういうふうに扱うかということのある種の考え方というものをしっかり持っていることが必要だということが相当言われております。この前人の尊厳の由来ということをちょっと議論したわけですけれども,人の尊厳がどこから来るかとか,どういうものであるかということについては,なかなか意見との統一をみるのは難しいとおもいます。人に尊厳が,何らかの尊厳があるというところでは多分意見が合うんだろうと思うんですけど。その人の尊厳がES細胞にどういうふうに反映していると考えるか,だからES細胞をどのように扱わなければいけないかということが多分キーポイントだと思います。信州大学での議論も見てみますと,結局あれは,細胞は細胞なんだからそういう扱いをしなくてもいいというところが非常に引っかかってるわけでして,その辺りを含めて,最初はそこのところの総論をやっぱりきちっとやっておかなくてはいけないだろうと思いますので,次回その辺りのことが議論できればいいと思っております。そういうことで皆さん,いろいろ準備をしていただければ有り難いと思います。
 それでは,もしそのほかに何もなければこれで終わりたいと思いますけど,よろしいでしょうか。
 それでは,どうもありがとうございました。今日の会議はこれで終わりです。