岡山大学大学院医歯学総合研究科ヒトES細胞倫理審査委員会 第7回委員会議事録
日時:平成16年10月8日 午後1時〜4時
場所:歯学部第一会議室(歯学部棟2階)
出席者:A,B,C,D,E,F,G,H,I,申請者A,申請者B,申請者C
欠席者:なし
資料:岡山大学大学院医歯学総合研究科ヒトES細胞倫理審査委員会第6回委員会議事録(案)
   第6回議論の要点と合意事項のまとめ(案)
   前回の委員会での要確認事項
   使用計画書について評価(各委員の意見まとめ)
   使用計画書について評価(修正案)
  「ヒトES細胞を用いたパーキンソン病モデルサルにおける移植効果及び安全性評価」の概要
  「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」に関する論点整理メモ
  「ヒトES細胞を使用した基礎的研究について」
  「研究者等が十分な知識・技能を有することについての国及び機関における審査の基本的考え    方」
 
A : それでは本日の倫理審査委員会を開催したいと思います。
 今日はH先生がちょっと遅れて来られるそうですけれども,全員出席ということになります。申請者にも出席していただいていろんな質疑をする予定です。申請者の方々には1時半にここに来ていただくように言ってありますので,30分間あらかじめこちらで議論をいたしまして,それから申請者のお話を伺いたいと思います。
 申請者の方が1時半に来られますので,議事録の確認は後回しにいたしまして,まず見ていただきたいのは前回の議論の要点と合意事項のまとめ(案)という1枚の紙です。これは,いつものように議論の要点をまとめてみました。ざっと見ていきますと,第5回の議事録は保留といたしましたっていうことがあって,それから審査項目及び基準案について一部文言の修正を行った。この修正版は今お配りしてあります。
 それから,使用計画書を検討いたしまして,次の8項目のようなことが話題になったということであります。このことは,前回欠席の委員の皆様ももう議事録をごらんになってお分かりだと思いますけれども,概略を申し上げますと,1番はマウスES細胞での検討から直接ヒトES細胞に進むことは妥当であるかどうか。中間に,ブタのES細胞とかあるいはサルのES細胞でもう一度検討する必要があるのではないかという疑問が委員の間から出されまして,それは基本的にはマウスESから直接ヒトESに進むということは一概に否定されるというわけではありませんが,文科省の現在の状況とか,あるいはほかの使用計画での状況,あるいはブタのES細胞がアベイラブルであるかどうかということを確認しようということになりました。
 それから,2番目は,ヒトES細胞の分化誘導と人工肝臓モジュールに詰める部分の関係が記述からは必ずしも明確ではないと。それから,マウスES細胞を用いた分化誘導実験の記述が不十分で中身がよく分からないということですので,これは次回申請者に直接確認するということで,今日その部分をお話ししていただきます。
 それから,3番目は,本研究が順調に進展して何らかの経済的利益を生んだときに,それをどのように取り扱うかという議論が出まして,この点に関しましては今日本の中で十分なコンセンサスが得られてないと思いますけれども,特にそのヒトES細胞という特殊性にかんがみて対処してくださいと,その旨を伝えるということになりました。
 それから,4番目には,概略どのぐらいの費用がかかって,それはどのようなソースでそれを賄うのかということを簡単にでも記述してもらいたいという御意見がございました。
 5番目は,ヒトES細胞及びその派生物を人体に適用するという臨床研究は禁止されているわけですけれども,基礎研究と臨床研究の範囲がどうであるかという議論が出まして,これについても次回までに調査できるところは調査しようということになりました。
 それから,6番目は,ヒトES細胞の供給に関して京都大学の中辻教授から同意する旨のメールが添付されてありましたけれども,それは古い研究計画に基づいたものであって,新たにとり直す必要があるであろうという御意見がございました。これは,そのようにしていただく予定です。
 7番目は,研究の新規性に関する考え方と記述が必ずしも明確ではないという議論がなされまして,この点に関してもきょう本日申請者に確認したいと思います。
 8番は,研究期間内に具体的にどのような点まで達成しようとしているのかが,これも必ずしも明確ではないと,この点も説明していただきます。
 以上ですけれども,何か御意見ございますでしょうか。
 最初にこれをやりましたのは,前回の議論を踏まえて今日のさまざまな質問をしていただきたいということでこの確認をしているわけです。
 よろしいでしょうか。もしよろしければ,次に宿題なんですけれども,平成16年度第2回倫理委員会の宿題と書いてあります1枚の紙がございます。これは,今このまとめにもありましたように幾つかの調査事項がございましたので,事務担当さんにお願いをして文科省にも尋ねていただいたり,少し調査できることは調査をいたしました。
 まず,基礎的研究に限るという場合に基礎的研究の範囲ということをお伺いしたところ,そこにありますようにヒトES細胞及びその派生物を人体に適用する臨床研究は認められないことは明らかであるが,将来そうした方向を目指すという記述は容認されるか,それとも余り明確に臨床応用をうたわない方がよいのか。これは質問事項です。こちらがこういう質問をしたということです。で,指針にその他医療云々とあるのは,例えばブタに人工肝臓モジュールをつないで機能検定を行うような実験は認められないのかということをお伺いしたところ,文科省は基礎的研究の範囲である旨は必ず明記する必要がある,しかし将来的に人体に適用しない臨床研究はないと考えていると,これはまあある意味では当たり前のことですけれども。また後段に,ブタにつなぐ機能検定は今までそのような申請が出た例がないが,ヒトの基礎的研究であれば可能であろうということでありました。要するに,将来的には人体に適用して臨床応用を目指すということは暗黙の了解というか当然のこととされてるわけですけれども,現在の段階ではそれを行わないということを明確にすればいいのではないかということであります。それから,ブタにつなぐ云々については,資料をつけてあります。後で確認しますけれども,サルにES細胞を分化させた細胞を直接注射するという計画も出されておりまして,それと比較して考えてみますと,現在の段階でもブタに人工肝臓モジュールをつないで研究を行うということは必ずしも一概に否定されてるわけではないというふうに考えられると私は思いました。この点については,また必要があれば後で検討したいと思います。
 それから,2番目にマウスES細胞でやっていればサルES細胞あるいはブタES細胞でやらなくてもヒトES細胞でいってよいかどうかというその確認をいたしますと,サルで行うことが望ましい,あるいは印象がいいのは確かだが,必ずやらないといけないとは書いていないと。もし,サルES細胞で実験を行う予定があれば,その旨を申請書に書いておけばいいという指摘がございました。
 3番目に,臨床応用研究に関連して最近議論の進展はあったか。つまり,この質問の意味は,臨床応用の研究に関しては当面やらないということですので,その後進展があったかどうかということをお伺いしたところ,これは特に進展はないということで,指針の段階でとどまっていると考えた方がいいのではないかと思います。
 それから,ブタのES細胞があるかどうかっていうことがちょっとここで議論になりましたので,文献検索したところ,確かにブタのES細胞を樹立したという報告がございます。2件普通のブタとそれからミニブタから樹立したというお話ありますが,まだほとんどそれを使って実験されたという報告はありませんので,入手あるいはそのキャラクタリゼーションも含めてまだ一般的ではないというふうに考えられます。サルに関しては,御承知のように京都大学で樹立されて,今日本のいろんな研究機関で使われて応用されてるところであります。
 それが宿題ですけれども,この件に関して何か御意見,御質問がございますでしょうか。よろしいですか。
 30分以内に前段階の議論を終えなければいけないので,ちょっと急いでいます。もしよろしければ次の資料に行きたいんですけれど,次は資料19の4と右上に書いてあるものをごらんください。これは,文科省の専門委員会のホームページから多少参考になりそうな資料を拾ってきたもののうちの一つなんです。ここでは,ヒトES細胞を使用した基礎研究についてということで,今日臨床研究,基礎研究がどのぐらいの範囲かということについてのコメントがあります。現在の段階ではヒトES細胞等を人体に適用する臨床研究については引き続き行わないというのが現在のところのコンセンサスであるということであります。
 それから,このあたりに関しましてはさまざまな議論があるようです。資料の18の5というところに論点整理というのがありまして,さまざまな問題点に関しまして専門委員会の委員の間でもいろんな意見があって必ずしもコンセンサスに至ってないと,そのあたりのことの一覧がございますので,またお時間のありますときにごらんいただければと思います。
 それから,この資料の中で参考になりますのが,1,2,3枚はぐっていただきますと,ヒトES細胞の樹立計画及び使用計画の確認についての一覧というのがございます。参考1と右上にあります。これは,平成16年5月28日現在でどのような計画が承認されたかということの一覧表であります。樹立計画はいいんですけれども,使用計画をごらんいただきますと,そこにありますように,この段階で13件,その後現在の段階までに2件追加されまして,使用計画は計15件が承認されて動いております。ここに載ってない2件といいますのは,京都大学の中辻先生のところから出てるヒトES細胞そのもののキャラクタリゼーションに関係することが主な研究計画であります。
 これを見ていただきますと,どのような研究が許可されてるのかということがごらんいただけると思います。肝臓,今回本学で出されております肝臓への分化の申請はほとんどありませんけれども,6番の信州大学から出されておりますヒトES細胞の維持と分化に関する研究という中に,心筋細胞及び肝細胞へ分化させる方法の確立ということがありまして,この分がややオーバーラップしたことであります。ただし,研究がオーバーラップしてることが特に問題になるということはございませんで,そのほかの研究グループの研究を見ましても対象とする細胞は結構オーバーラップしてる例がございます。
 それから,その次の資料17の4をごらんください。これが動物に直接ヒトES細胞を分化誘導したものを打つという実験の概要でございまして,そこの一番下を見ていただきますと,神経細胞に分化誘導いたしまして,モデル動物,この場合はラット,サルというふうに書いてありますが,そのモデル動物へ移植するということが計画書として出されております。これは,先ほど申し上げましたように,動物に,つまりある細胞を分化誘導したものを動物に打ってもいいのかどうかっていう,そういうことの参考のためにそこにつけておきました。
 それから,資料20の3というのをごらんいただきますと,これは研究者等が十分な知識,技能を有することについての国及び機関における審査の基本的な考え方ということであります。前回もそうでしたけれども,今日特に研究者がどのような資質,能力を持ってる必要があるかということの検討を行わなければいけませんので,その参考のためにこの資料をつけてあるわけです。十分な研究業績,ヒトES細胞研究に携わるために十分な研究業績とありますけれども,実は指針には具体的な記述,つまり論文が何篇とか論文がなくてはいけないとか具体的な記述はなされておりません。それから,大学院生及びテクニカルスタッフに関することも,これは前にも出てきましたけれども,ディッシュを洗うとか直接ES細胞にタッチしないような人は,特にそういう面でトレーニングをするということが求められていませんけれども,直接細胞にタッチするような人は,大学院生とか技術補佐員を含めてちゃんとしたトレーニングを受ける必要があるということがうたわれております。ただし,その場合も,例えば1年なら1年,半年なら半年間トレーニングを受けなければいけないとか,論文が何篇なくてはいけないとか,そういう具体的な面については,専門委員会の議事録を読んでみましても具体的な記述はないようです。むしろ機関の倫理審査委員会に委ねて,機関内の倫理審査委員会が実態をよく見て判断してもらいたいという,そういう姿勢のようであります。つまり,書類上の資格よりも実態としてその人がヒトES細胞を扱う上での倫理的な基準に合うのかどうかということを機関内で判断してもらいたいというのが専門委員会の基本姿勢のようであります。1ページの3の3の一番下のところに,機関の倫理審査委員会が適切に判断するということで,ここを非常に重視してるということが分かります。
 それから,次のページにもう少し具体的なことがいろいろ書かれてありますけれども,これも参考にしていただければと思います。
 以上が資料の添付した参考資料の説明ですけれども,何かございますでしょうか。
 それでは,急いで申しわけないんですが,一番大事な,いよいよその具体的な中身に入っていきたいと思います。この横になってる,非常に小さい字で横になってる資料をごらんいただきたいと思います。左上に使用計画書についての評価(各委員の意見まとめ)と書いてありますけれども,これをごらんください。すべての委員の先生方に各項目についての御意見をいただきたいとお願いしてあったんですけど,残念ながらすべての委員の先生方からはいただけませんでして,いただいた中の意見をここに一覧表にしてあります。
 ざっと,ごらん下さい。細かいところは別ですけれど,大体オーケーかなというセクションもあれば,例えば一番上の研究計画の倫理的妥当性についてはお三方の御意見はほとんど大体はいいのではないかということでありますけれども,ES細胞のソース,供給源に関する書類に関しましては,これはとり直すということが大体コンセンサスだろうと。それから,科学的妥当性については,やはり内容の情報がまだ不十分なので,今日丁寧に話を伺いたいと思います。それから,研究設備に関しましても,これは書類上からはなかなか判断するのが難しいという点もございまして,可能であれば使用予定の研究施設を見学することができればありがたいなと思ってるんですけれども,その点いかがですか。それでは,もし向こうの受け入れ体制がオーケーだったら実際に見学に出かけたいと思います。
 それから,3ページ目の研究体制,研究者等のいろんな項目に関しましても,書類上からはなかなか判断しにくいということもございますので,特にこのあたりのことについては,今日研究の責任者あるいは研究実施者に確認をしたいというふうに思います。全体としては,この資料をごらんになりながら質問をしていただきたいと思っております。
 何か,この一覧表をごらんになって,もちろん細かいところはそれぞれ委員の皆様方の間で意見が違うと思いますけども,何か基本的に今の段階でこういうことを言っておきたいということはございますでしょうか。
 G先生,何かございます。
G: 意見を事務担当さんから求められましたが,私は大体いいと思いまして電話で返事しました。ただ,研究の細かいことについては質問がありますので,今日させていただきたいと思っております。
A : ありがとうございました。そのほかに何かございますでしょうか。申請者が入室された後で,まず,申請者A先生はこの使用計画の責任者でいらっしゃいますので,申請者A先生から一言概要の説明をいただいて,その後に,もし申請者A先生お忙しければ,最初に責任者としての質問といいますか,それをして,実験の具体的な中身に入る前に退席していただいてもいいと思うんですけど,それでよろしいですかね。具体的な実験あるいは研究室の案内等は,研究実験実施者の方で対応できるというふうに考えます。
 
    ( 申請者との具体的なやりとりについては省略)
 
A : それでは,申請者は退席されましたので,今のいろんなお話を踏まえて改めて評価をしていただきたいと思います。これはもちろん議論の流れによるところですけれども,もしできればあと二回ぐらいの検討で一応この委員会なりの結論を出せればというふうに考えております。したがって,今日基本的なところを議論いたしまして,申請者にこれこれこういうところを修正するなり要望するということを相手にお伝えして,次回までに必要な計画書の修正をしていただくと。次回,実際に研究施設を検分をいたしまして,私たちは最終的には研究科委員会に対して報告書を提出をするということになると思いますので,その後報告書準備いたしまして,その次の委員会でその報告書が妥当なものであるかどうかということについて検討をできればどうかというふうに思っております。今日いろんなことが出ましたけれども,どうでしょうか,先生方,御意見。まず,全体的に御意見ございましたら伺いますけど。
G: 全体的に研究を進めることに対しては,私はいいと思っております。それで,今日は細かいことをお聞きしました。今後第一外科で頑張ってほしいと思ってます。
A : ほかに全体的に御意見ございます。
 特にないようでしたら,項目別にもう少し細かい御意見を伺いたいんですが,最初に研究計画の倫理的妥当性という大枠がございます。これは,ここに出てるのは3名の委員の方の御意見だけですけれども,前半に関しては基本的にはオーケーだろうということでありまして,このセクションでやっぱり一番問題だったのは京都大学からの了承の手紙というか書類が古いのできちんとした文書でもらってほしいということでした。ただ,今日示されたところによりますと,それは準備されたようですので,それを差しかえるということでよろしいでしょうかね。無償である旨の証書が必要という御意見がF先生からございますが,これはあの書類を見ますと無償であるということは書かれてなかったですね。
F: だから,一言入れてもらわないと,この基準にちょっと引っかかるのかなと思います。
A : 改めてとってもらってもいいんですが,樹立機関として無償で配布するということは,向こうの倫理委員会あるいは文科省の専門委員会でチェックされてるんですね,既に。それでここに書かなかったのではないかと思うんです。だから,日本の中辻先生のところからもらう限りは,有償ではあり得ないというふうに判断することもできるんですけど,どうでしょうかね。やっぱり法律的な立場から言えば改めてとってもらいたいということでしょうか。
F: 「必要経費を除き無償で分与されているか」というように評価基準が設定されていますので,推定できるというだけではちょっと不十分だろうと。計画書本文に記載していただくことでも十分確認できると思いますので,どの道本計画についてES細胞を供与することについて文書を京都大学からいただかないといけないわけですから,そのときに無償と一言入れていただければ万事それで解決するのかなというふうに思います。
A : 先ほどちょっとスライドで示してあったあの同意書は,この計画に関してだと思います。日付が新しかったです。この計画書についてるのは古いですよ。
F: そうするとこれには無償という明確な表示はないわけでありますが,自明のことであると,要するに日本国内で樹立されたものであって,文部科学省の基準に沿ったものであるから無償であることは自明であるということは確かに分かるのですが,一応我々としてこういう基準を設定した以上,申請者の方から無償だということをアピールしていただくという必要性があって,計画書を恐らく少し書き直されると思いますので,その際に無償であるということを一言入れていただければ足りると思います。
A : 分かりました。計画書の中に1文それを入れていただくことにいたしましょう。
 倫理的妥当性に関しましては,これまで問題として上がってきたのはそのあたりですが,何かこの点に関して御意見ございます。よろしいでしょうか。この研究計画書は倫理的側面は特に問題がないと。
 それでは次のステップで,科学的妥当性につきましては前回もいろんな議論が出ました。そのうちのかなりの部分は今日の議論で明らかとなったのではないかと思うんですけれども,その点について御意見ございますか。何でも自由に御発言いただきたいと思いますけど。
G: 最後のところですけれども,先生もたびたび言われたけれど,やはり機能を重視したこと,アルブミンというのは機能じゃないと思う。それほど大した機能じゃない。やはり,肝細胞として,CYPのような機能を測っていただきたいなと思います。
A : どういうことを指標にしてモジュールの機能評価をするか,そこのところをもう少し明確に深めて書いていただきたいということですね。
G: アルブミンの産生だけでは単純過ぎると私は思います。
I : そのこともさっき申し上げた中に実は申し上げたかったことであって,ブタとかサルとかそういう動物のES細胞で作るというのは意味がないように今伺いはしたんですけれども,それだったらその動物に実際につないでといいますか,治療に使えるかどうかというところまで実験ができるわけですね。人間のES細胞を使うと,一体どうやってそれが役に立つものかどうかということの実験ができるのかというのが素人には分からないもんですから。
A : ヒトのES細胞を使って分化誘導をしてモジュールに詰めても,それを今度はブタにつなぐということで機能検定は可能なわけです。
I : ええ,でもそれはなさらないということでしたね,今,質問しましたら。
A : それは,この実験期間中はそこまでを含んでいないと。動物実験まではやりませんというのは,この3年間の実験計画ではやりませんということなんです。ただ,この研究が目指してるものは,先ほどからも議論になってますけど,最終的には臨床応用ですから,臨床応用の前段階としては動物実験は当然必要ですので,その次のステップとしてはまさに動物実験をやるということになるんじゃないかと,そのように理解しておりますけど。
I : 動物実験をやらないで機能を測定する方法というのはどういうのがあるのか,伺っても分からないかと思うんですが。
A : それは,例えば今G先生もおっしゃいましたが,アルブミンが培地中にどのぐらいたまってくるのかを調べれば,アルブミンの産生量は分かります。それから,薬剤代謝も,どういう代謝酵素が発現するのか,あるいは薬剤を入れてやって,それがどういうふうに代謝されていくのか。アンモニアを付加して,アンモニアが培地中からなくなっていくキネテクスですね,それを調べるとか,そういうことで機能検定をするということになると思います。
 ほかにございますか。
C: 先ほど来私もちょっと気になっており,また,B先生もおっしゃられましたけれども,モジュールにマウスのES細胞を充填するという実験はまだされていないということで,それについては先ほど委員長確認されましたけども,もうされるということでよろしいのですね。その上でまた計画書を出し直してもらうということで。
A : そこですね。確かに申請者はやるというふうにおっしゃいましたが,この委員会として,結果を見て,それから判定するということにするのか,あるいはこの委員会での審査がまだ数カ月かかって,それから文科省に行ってまた数カ月かかると,そうすると最低でも半年はまだ先の話なので,その間にそういう点を詰めるということで容認するのか,そこのところをお考えいただきたいんですけど。
B: そのあたりが一番私も気になって説明を聞いていたんですね。この研究の意義が,ヒトES細胞をある程度肝細胞様に分化させるっていうところに重点があるのであれば,モジュール内でどこまで分化するかっていうのは,一つの実験の一部に過ぎなくって,シャーレ内の不織布上で十分分化すれば,それをモジュールに詰めればいいので,モジュールの中での分化がどの程度行われるかっていうのをマウスでしなければいけないという前提にはならなくなってくるんですね。ですから,研究者が何に重点を置いているのかっていうのをある程度知りたかったんです。肝不全サルの生存率っていうスライドを見せてくださいました。それで見ると,第一外科が完成させました,ある程度完成したこの人工肝モジュールっていうものは,分化した細胞をモジュールに詰めてやれば相当の効果を発揮するっていうのが示されています。ですから,モジュール内で分化させなくっても,不織布の上でいろんな,HPO使われるって言われてましたけれども,そういう手法でかなりの程度に分化が可能なのであれば,それをモジュールにつければいいのであって,マウスのES細胞でモジュールの実験がなければこの実験は意味がないという結論にはならないと思うんですね。そのあたりをどのように我々は評価するか,考えるか,研究者が考えるかっていうところは重要かなって思うんですけれど。
A : どうもありがとうございました。今の件に関して,そのほかの委員の先生方,御意見ございますか。
G: モジュールの中で三次元培養というのは,やはり機能を高める一つの手段だと思います。だから,モノレーヤーでシャーレーの中だけでやったのとは機能がぐっと違ってくると思います。
A : ほかにございますか。
H: B先生が整理してくださったとおり,前回も私ちょっとこだわってしまったんですけれども,今日も説明を伺っていると,モジュール内での,これは増殖ということでしたけども,についてやはり検討する先生がいらっしゃるとか,あるいはモジュールの中だと高機能,どういう言葉だったかちょっと今忘れてしまったんですが,さらなる機能向上が望める可能性が高いとか,やっぱりそこがポイントのような印象もあって,そうだとすれば,モジュールに充填した動物実験が必要なのかもしれない,それは確認が必要なのかなと思いますが。
A : ほかにございますか。ここはかなり重要なポイントで,今B先生がおっしゃって,いろんなことがある程度はっきりしたと思うんですけれども,確かに2つのステップ,最終的にどの程度機能が出るかっていうのは2つのステップがあって,1つはモノレーヤーカルチャーの中でどのぐらいの分化誘導が行くのかということと,それからそういう細胞を2.5次元か3次元かに詰めたときにどのぐらいその機能が上がるかというところがあると思います。最終的にはその両方が相加効果というか相乗効果を発揮して高機能なモジュールができるということを期待するわけですけれども,問題は,今の段階ではマウスのESから分化誘導した細胞に関しては3次元に入れてどの程度機能が上がるかっていうことの検討はされていない。ただし,ほかのさまざまな細胞系を使って,機能が何がしか必ず上がるというデーターはあります。今の段階でヒトのES細胞を使ってそういう研究を始めることを認めるのか,あるいはその後半の段階についてのマウスのES細胞のデータがないと研究を始めるのは妥当ではないと判断するのか,そういう問題ではないかと思いますけど。その点に関してはいかがでしょうか。
 余り僕が物を言い過ぎない方がいいといつも思ってるんですが,研究を実際なさってない方のために少し追加のコメントをいたしますと,やはりマウスのES細胞とヒトのES細胞は細かいことを言うとやはりかなり違うだろうと予測されるんですね。肝臓の細胞一つにしても,培養のコンディションとか培養方法とかによって機能がどの程度維持されるか,どの程度発揮されるかというのは非常に違ってくるわけです。微妙な条件で左右されると。そうすると,例えばマウスのES細胞を普通のカルチャーと,あるいは不織布の上でカルチャーして分化誘導して,それを3次元モジュールに詰めたら5%しか機能が上がらなかったということがあったとしても,実はヒトのES細胞で分化誘導したら150%とか200%になるという可能性もあります。逆にマウスで倍に機能が上がったとしても,ヒトの場合には1.2にしかならなかったということもあり得るわけですね。そういうこともちょっと考慮に入れた上でどうされるか,どういうふうに判断されるかということをお考えいただきたいと思います。
G: もう少しマウスの実験は本当は聞きたかったんですけど。スライドで見た限りでは,エンブリオボディーになったとき,それは3次元になっているわけですから,その場合はやはりマウスでも機能は上がっているわけですね。だから,ヒトの場合もそういう3次元になれば機能は上がると予想されますね。そうして,やはりモジュールに詰めるということは,やはり将来への臨床応用のためにはそういうことが必要ですから,やはりそういう3次元になったものを詰めてやってみたいというのはリーズナブルな考え方じゃないかと思います。成功率は,私はフィフティー・フィフティーぐらいかなと思います。これは,もう実験ですから,成功すれば非常にメリットも大きいし,失敗すればそれはしようがないですけど。失敗のないような成功はないと思いますし,やっぱりやる価値はあると私と判断します。マウスはそれほどやられてなくても,このデータでエンブリオボディーまでやられてておれば,ヒトの方へ進まれてもいいんではないかと思います。
A : 今のG先生の御意見は,もちろん審査の間にも彼らはいろんなことをやるでしょうけれども,計画書の承認としては現在の段階でもいいのではないかという御意見だと思いますが,そのほかの先生方はいかがでしょうか。
 これは,どこかで決めなければいけない問題ですので,F先生,いかがですか。
F: そのような科学的な判断は私にはできかねますが,要するに現段階ではマウスを使ったモジュールもつくったことはないっていうわけですよね。そうすると,先ほどA委員長から御指摘ありましたように,マウスとヒューマンで必ずしも結果っていうものは単純に比較できるわけではないということを踏まえれば,マウスで人工モジュールをつくってみて,その結果がどうであるかということよりも,そのモジュールを作成するノウハウを,マウスを使ってモジュールを作成するという技術を習得するというところまではやはり必要なのではないかと。モジュールをつくるという言い方が正しいのかどうか分かりませんけれども,それを完成させる技術というそれそのものはヒューマンの方にも応用がきくわけでありますから,そこのところを重視して,もちろん実験されるのでしょうけれども,結果が仮に良好だ,不良だということによってこちら側の結論が変わるということではなくて,そこまでの技術を持っているということが確認できたということで審査委員会としてはいいのではないかというふうに思います。ちょっと的を射ているかどうか分かりませんが。
A : 今の御指摘は非常に大事なことだと思うんですけどね。ちょっと私お断りしたいのは,先ほどヒューマンの結果とマウスの結果は必ずしも一致しないこともあり得ますよというコメントをしたのは,ちょっと慎重に聞いていただきたいんです。何かある方向に議論をリードしようという意図では全然なくて,実験にはそういう面もありますということを言いたいわけです。もしも本当に全然関連性がないんだったら,マウスのES細胞使った実験を前段階としてやるということそのものに意味がなくなってしまいますから。基本的にはもちろんマウスのESとヒトのESは非常に大きな共通点があって,同じようなやり方で分化誘導ができることも非常に多いですし,共通点は多いんです。だけども,少しはずれもある可能性があるという,そういう意味ですので,そこのところちょっと誤解しないようにお願いいたします。
 それで,今のF先生のお話は,確かに非常に大事なポイントだと思います。詰めるということは結局何かといいますと,細胞を入れたときに中空糸の上に細胞が乗るかどうかということなんですね。申請者は,実際にはエンブリオイドボディーにすると細胞は乗るっていうことを確認します。そうすると,あとは,あのモジュールの中で同じことが起こるかどうかです。実際に我々も例えば3次元担体に物が乗るかどうかっていうことを確認するときには,必ずしも最終的なモジュールの格好ではなくてもっと観察しやすい形のものを使っています。もちろん最後はモジュールに詰めてアッセイするわけですけれど。そういう意味から言えば,詰めるということに関しては,基本的には恐らくうまくいくだろうというだけのデータは示されたんじゃないかっていうのが私の印象でした。
E: 後で対外的な批判を浴びないためにも,やっていただいた方がよいと思います。
A : それは,まずそこをやらないとこの研究計画書を通すことはできないという意味ですね。
E: そこは難しいんですが,マウスのデータが有用かそうでないかということとは別に,そういうステップを踏んでいるということを示すという意味で,やった方がよいのではないかと思うんですが。それをやらないから通さないとまで言えるかどうかは自信がないです。
I : 少なくとも実際にこの研究がスタートするまでの間にそれをやる計画っていうのを添えて出していただくというようなことはできないでしょうか。
A : もちろんそれも可能でしょう。そういう方向でということになればそれは一つのお考えだと思いますけど。
H: 実際にその研究というか実験をやるのはどれぐらいの期間が必要だと予想されるんでしょう。
A : まあまあ1カ月とかそんなところかもしれません。
H: 繰り返しになるわけですけども,要は,その実験を踏むことでヒトに進むために何が得られるかということですよね。例えば,F先生が指摘されたように技術かもしれませんし,必要なデータかもしれませんし。そうすると,やはり最終的な研究でそこにどれぐらい重きが置かれているかということのような気がします。そして,実際にもし非常に短期間でできることであれば,次回再提出されるまでにすることができないのだろうかという気もいたしましたが。
A : 分かりました。
C: ほとんど予想のつくことで,例えば先ほどE先生が言われたように,結局対外的にどうかという問題だと思います,外から何か言われたときにと。そこのことに尽きると思います。だから,むしろ我々のような研究者の立場よりは,法的な方面や社会的な方面の立場の方から御判断いただいた方がよいのではないかなと私は思います。そちらの判断の方が私はむしろ気になります。その実験結果がどういう形になるかというのはもうほとんど予想がついていて,ほとんどいい方の結果が出ると思いますし,いい方の結果が出なくても同じ程度ぐらいであったとしても,別にそれはそれで良いと思います。要はヒトのES細胞使う前にマウスのES細胞使ってやったかどうかというそこの点だけだと思いますので,むしろ我々,生命科学の研究者よりも,それ以外の方の御意見の方をちょっと伺いたいと思います。
A : こっちから回ってますので,生命科学の先生ですけれど,どうぞ。
B: 私もC先生の意見にかなり賛成で,研究を進める上でそれが絶対になければいけないというふうには位置づけられないと思います。生命科学の研究者以外の方の目から見て,それがどういう意味を持っているか,それを伺いたいと思います。
A : I先生は先ほどおっしゃったことでよろしいですか。
I : はい。
D: 実験系研究者のさがでしょうか。これだったらどんどん進めたいというのが本音ですね。実際,進めるときにも必ずマウスの系をコントロールとして含むことを私だったら考えると思います。でも,これはやはり実験系研究者の意見であって,世間一般的にどう思われるかというのを考えるのがこの委員会ですから,その部分で研究者でない方々の意見の方が重要かもしれないと思います。ただ,この研究を大きく進めさせるためにサポートするわけですから,皆さんで,そう考えたときにはその部分を補強しておいた方がいいですよという示唆は十分意味があることだと私は思います。
A : どうもありがとうございました。D先生がおっしゃったことは非常に大事なことだと思います。つまり,いまライフサイエンス,メディカルサイエンスが研究を続けていくためには社会から支援を受けなくてはいけない,支持を受けなくてはいけないと。その支持を受けるためには,皆さんが納得してくれるような倫理的な基準に基づいてきちっと仕事をするということが大事だと,そのために倫理委員会をつくっていろいろやってるんだろうと思うんですね。そういうことからいたしますと,確かに実験者の予測でその分はスキップしてもいいかなと思ったとしても,それが社会との整合性というか,社会の信頼性を損なうようであれば,かえって全体のプロジェクトの進展を遅くしてしまうということがあると思います。今,C先生からの御意見もございましたし,この委員会としては,現在の段階ではとにかくそこの部分をできるだけ早く実験をやってくださいというふうにお願いをいたしましょうか。具体的にいろいろ困難があるようでしたら,状況によっては先ほどI先生がおっしゃったある種の妥協案ですね,そういう方策をとる可能性はあるにしても,現時点では実験をして,この計画書を最終的に完成させるまでにはそこのデータをつけ加えてくださいというふうにお願いをするということでよろしいでしょうか。
H: 動物実験が行われているかどうかということによって,この研究が信頼できるかどうかということが画一的に判断されるわけではないと思うわけです。何が必要かというと,どれだけ必要があったり準備がなされて進んでいるんですかということです。そういう意味で,先生方は専門家はつい進もうとするからとおっしゃったんですけども,今先生方がおっしゃったように,多分かなりの確率でいい結果が出るだろうという説明を受けると,ああ,そういう理由があるからスキップするんだなということが分かるので,それはそれでいいわけです。それが書かれていないことで,進めたいからスキップしたのかなと思われることがまずいと思うのです。ですから,もしスキップされるのであれば,それはそれで結構ですから,ただこれだけのほかのデータもあって大丈夫なんです,これだけ補完的なことがあるんですという説明をなさるか,もしくはこの研究と合わせてそういうことをやりますでもいいですけれども,画一的に実験があった方がいいと言われるて,ああ,じゃあもうこの計画書を通すためには実験しますと言われる方が不信感を持ちますので,それを申請者A先生たちがきちっと自分たちはどう思っているかということを示してさえくだされば,別に一般市民はそんなに,何ていうんですか,官僚的ではないと思います。
A : 私は,申請者はマウスのES細胞を分化したものをモジュールに詰めてという研究は必ずやると思ってるんです。それは,先ほどもからも出てますように,ヒトES細胞やるための前段階として技術的なものも検討しなくてはいけないし,コントロールとしても重要な意味を持ってますので,必ずやるとは思ってるんですね。今おっしゃったことは,なるほど,そうだと思うんですけど,もっと慎重に考えると,Hさんは今納得されましたけど,ほかの市民は納得されないかもしれない。そういうことも考慮すると,やはり可能なかぎりやっていただくというふうにいたしましょう,現在の段階では。
H: 実験するということは,そこで何かすごく悪いことが起きたらヒトに進まない可能性はあるということですか。
A : 今のところ悪いことというのは,モジュールに詰めた途端に肝臓の機能が全部なくなっちゃうというようなことだと思いますけど,そういうことは多分起こり得ないだろうと予測しております。ただ,理屈から言えば,そこでとんでもないことが起こったら計画そのものの基盤がなくなります。動物実験での知見が,ヒトES細胞を使って成果が得られることを期待させる結果じゃないわけですから。筋から言えば進んではいけないということになると思いますけど。
H: それこそちょっと形式的かもしれませんけど,そういうことがちゃんと段階としてあって,だめだったらやめるとかいうことが共有されているという感覚があれば,お互い信頼できるのだろうと思うのです。実験しさえすればいいということじゃないと思うわけです。
A : なるほど,大事なポイントですね。そこのところの考え方っていうのは,私たちもしっかり持ってなくてはいけないと思いますし,申請者にもお伝えしたいと思います。
 それでは,科学的妥当性に関しましては,その部分を少しやっていただくということでよろしいですかね,今日の段階では。
H: 確認なんですけれども,最後に幾つか申請者B先生から第一外科のオリジナリティーの説明が幾つかあったり,柴先生の方からもなぜES細胞を使うかという説得力のあるものがあった方がいいという御指摘があったんですけど,その辺は次回補強されてくると考えておいていいのでしょうか。
A : そうですね,計画書自体の論理の展開とか書き方とか文言の選択に関しましては,これはかなりまだ手を入れる余地があると私自身も思っています。この間に出たいろんな御意見を向こうにお伝えして,きちっと練っていただくと。今回は特に文章の文言は一切検討してませんので,それはまた今後検討したいと思います。
 それでは,研究体制,研究者等の倫理的な対応その他につきましては,先ほどややちょっと少し唐突だったと,僕はこの前の検討内容が伝わってたかなと思ってたんですけど,そうでなかったようでして,後ほど基本的な考え方や姿勢なりを文書で出していただくことにしたいと思いますけれども,現在の時点で何か特に問題があることがありますでしょうか,研究体制,研究者等について。
E: 項目について意見を出しましたよね。それを取り入れられた結果がこれですかね。
A : 先生から意見をいただきまして,公開性云々ということは場所を書いてあります。ただ一部分で,全部取り入れたわけではございません。
E: これを検討するんでしたっけ,こちら側でまだ,この項目の方。
A : いや,もし例えばどうしてもこの重要な項目が抜けてるというようなことがあれば検討いたしますけれども,もうこの細かい項目をどうこうすることにエネルギーを使うのもどうでしょうか。
E: 例えば,この7と8ですね,公表と公開。そうですね,実は私書いた意見のをさっきプリントアウトしたまま部屋に忘れてきたんで項目は覚えてないんですが。
A : これは,一緒にした方がよろしいと。そうですね,じゃあそうしましょう。
 使用責任者及び研究従事者の資格といいますか,これまでのトレーニング状況についてはいかがですか。私は,ある倫理に関係する人の意見を伺ったんですが,その先生は,この人たちの一ついいところは,いろんなところに行ってトレーニングを受けた人がいるというので,例えば1人はジェロン社に行ってる,1人は別の大学に行ってるということで,それは非常にアドバンテージじゃないかなというふうなお話はありました。研究業績その他から見て,こういう研究をするには一応十分ということに判定してよろしいですか。
 それで,その他の項目に関しましては,研究計画書の書式等は今後もうちょっと検討したいと思います。それから,使用機関の条件は,全体としてもう一度振り返った方がよかろうという御意見がございますし,確かに最終的にはもう一度チェックをしたいと思いますけれど,最初の段階で大分この点に関しては議論をいたしまして,委員もそういう理由で増やしてありますし,今の段階で特に改めた方がよいということがあればお伺いしますけれど。いかがでしょうか。
 特に御意見がないようでしたら,今後のステップといたしまして,まず今日いろんな議論が出ましたので,この議論の内容を申請者にもお伝えをして,そして必要な措置を講じていただくと。次回の,今日は10月ですけれども,できればどうでしょうか,次の倫理委員会は今月の末にできれば一番いいんですが。次の倫理審査委員会のときには,実際に研究室を見学すると。まず初めに研究室を見学したいと思っております。あるいは,先ほどから話が出てます実験の結果を含めた新しい申請書を出し直していただいて,それからという可能性もあると思いますけれども。そうすると,1カ月,11月に入ってからということになります。どちらがよろしいですかね。それは,今出されてる申請内容について,さらに細かい問題があり得るかどうかっていうことなんですね。これがもう基本的にアプルーブできると,今日の議論の討論の内容も含めて,これが修正された場合は,基本的には全体の構造とか内容はもうアプルーブできる,あとは細かい修正とか論理の展開とかそういうことだけであるということであれば,もう少し余裕を持って11月に入ってからということでいいと思うんですが,いや,そうではなくてもう少しこういう問題点はこの中でしっかり議論をした方がいいということであれば,10月の半ばでも,新しい申請書,新しいバージョンが出てくる前でも集まって議論ということになると思うんです。今日はもう3時間近くなりますし,4時までがデッドラインですので,そろそろ終えなくてはいけませんけど,どうしましょうか。
G: マウスの実験を追加しても,この10月の終わりまで間に合えば10月29日だったら私いいですけれども。それから,11月入ると,12日でないと私は時間がありません。
A : 8日の1時で都合が悪い先生はそのほかにいらっしゃいますか。
G: 1時でいいです。私はよろしい。
A : D先生,大丈夫ですかね。
D: 私はとりあえず手帳忘れたんで分からないんですが,1人か2人ぐらい欠けても問題はないですかね。
A : まあ大丈夫です。最終結論ではだめですけど,この次は最終結論ではありませんからねえ。
G: 8日にしましょう。
A : じゃあ,そうしましょうかね。D先生はまた,ちょっと別にいろいろ検討していただいて。
   では,次は11月8日の13時ということで。それでは,それまでに今日のさまざまな議論を踏まえまして,申請者の方にも最大限努力をしていただくというふうにしたいと思いますので,それでよろしいでしょうか。
 最後に何かこれは言っておきたいということがございましたら。よろしいですか。
 じゃあ,先生方,今日は長い時間ありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。これで終わります。