部門紹介

HCTC

HCTC

高橋 郁名代(たかはし かなよ)

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患者さま、ご家族の皆様へ

造血細胞移植コーディネーターをご存知ですか?

造血細胞移植コーディネーターはHCTCと呼ばれます。Hematopoietic Cell Transplant Coordinatorの頭文字をつなげたものです。 この職種は「造血幹細胞移植が行われる過程の中で、ドナーの善意を生かしつつ、移植医療が円滑に行われるように移植医療関係者や関連機関との調整を行うとともに、患者やドナー及びそれぞれの家族の支援をおこない、倫理性の担保、リスクマネージメントにも貢献する専門職」と定義されています。 「患者と医療スタッフ」という2極構造に対して、移植医療は「ドナー」が加わる3極構造となるため、調整役が必要となったことが誕生の由来です。

造血細胞移植に関わるコーディネーターには2種類あり、私たちのように医療機関に所属するHCTCと日本骨髄バンクに所属するドナーコーディネーターがあります。後者は骨髄バンクドナーと採取施設側に関わりますが、HCTCは患者、ドナー(血縁・非血縁)、患者・ドナーのご家族、移植チームなど広い領域に関わります。

HCTCは患者・ドナーに直接的ケアや診療は行わず第三者的立場で、患者・ドナーの権利擁護者となり、HLAを調べる移植前の段階から、そして移植を終えられた退院後も継続的なサポートを行える立場にいます。ある意味、どの職種よりも患者、ドナー(候補にあがられただけで実際にはなられなかった方も含めて)に長く関わることになります。
関連病院だけではなく、骨髄バンク、臍帯血バンク、採取担当の病院、それぞれが社会復帰されていく地域へと、幅広い領域を横断的に調整することになります。
いわば、患者さまを中心とした移植チーム全体の調整役といえるでしょう。
どの立場からも、「行き詰まった時には、この人なら何とかしてくれるかもしれない」と思っていただけるような存在になれたらというのが私が目指しているひとつの理想形です。一歩でも前に進んでいける、その案内役としてHCTCという窓口をご活用いただければと思っています。

HCTCを目指してみようかなとお考えの方へ

現在、HCTCの約半数は看護師ですが、残りは様々な背景の方で構成されています。それぞれのこれまでの背景によって得意とする分野はあり、それによって偏りのないサポートができることが特徴のひとつになります。

私は移植病棟看護師の経験を活かして、より幅広く、移植チームの潤滑油的な活動をしたいという思いからHCTCになりました。3年が経過した今、「つなぐ」ことのやりがいをとても感じながら毎日を送ることができています。
当院では私が初めてのHCTC配置でしたので、最初の1年は認知されることの難しさを痛感しました。自分が行なっていることが理解でき、つながり、視して自律的に動けるようになるのに半年かかりました。何もなかった場所に家を建てていくように、できあがりつつある過程は、難しさもありましたが、それ以上に面白さや充実感があります。

HCTCになってみたいと思われる方は、ぜひお気軽に研修にいらしてください。施設の特徴によりHCTCの働き方も様々な現状があります。当院は計2名のHCTCで活動を行っています。看護師経験者である私と一般職経験者(病棟クラーク)という2人体制なので、それぞれの強みが活きたコーディネートになっているのではと思っています。
ぜひ、ひとつのモデルケースとしてごらんいただき、HCTCという職種を皆様の今後のキャリアの選択肢に加えていただければと思っています。お待ちしています。

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