病名一覧

保存治療系(むし歯関係)

むし歯の原因と痛み
むし歯とは、むし歯の原因菌(Streptcoccus Mutansなど)が食べ物の残渣をもとにして作り出す酸によって、歯が溶けていく病気のことです。歯が溶けていくと、歯には穴が開いていき、歯の間にものが挟まりやすくなったり、歯の色が悪くなったりしていきますが、さらに進行すると、歯の中にある“神経”(歯髄)に刺激が伝わりやすくなり、痛みを感じはじめます(歯髄炎)。 痛みの原因となる刺激にはむし歯の原因菌の出す毒素の直接的刺激のほか、冷たいもの、温かいもの、甘いもの、酸っぱいものなどの食べ物などで誘発される痛みや、食べかすなどがむし歯の穴につまることによる神経への物理的な刺激によっても痛むようになります。初期の虫歯は痛みを感じませんが、痛みを感じるむし歯はすでにかなり大きくなっているので、痛みを感じる前におかしいと思ったら早急に治療しましょう。放置していると、強い痛みを感じるだけでなく(歯髄炎)、そのうち神経が死んでしまい、骨の中が膿む病気(根尖性歯周炎)になっていきます。
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齲蝕 うしょく
むし歯は、むし歯菌が作り出す酸によって歯が溶けていく病気のことです。初期においては歯の表層のエナメル質が侵され(C0、C1)、進行すると痛みを感じる象牙質が侵され(C2)徐々に歯髄(神経)に炎症(歯髄炎)を生じて強い痛みを感じる事になります(C3)。放置すると神経は死んでしまい、歯の部分はさらに崩壊して、最後には根だけが残る状態(C4)となります。治療はむし歯を完全に除去することが原則ですが、神経が生きている歯では、できるだけ神経を生かすため、段階的にむし歯を除去していく治療(覆髄)も行われます。
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歯髄炎の治療(覆髄・抜髄)
覆髄とは、むし歯が歯の神経に近いところまで広がっていた場合に、神経の炎症を鎮める薬をむし歯をとった穴に詰める治療です。これにより神経を保存していくことができます。しかし、神経にまで達するなどの大きなむし歯では、炎症を生じた神経をとる必要があることがあり、この治療を抜髄といいます。神経をとってできた根の空間(根管)は、薬を詰めていきます。
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慢性歯髄炎
歯髄に炎症が生じた状態をいいます。歯髄炎の中には、ズキズキとした痛みを感じる急性の炎症(急性歯髄炎)の他に、症状が少なく経過する慢性の歯髄炎があり、生活力が高い小児の歯髄などによくみられます。症状が比較的乏しい状態で、軽い痛みを時折感じる程度で経過することが多いのですが、むし歯のお穴に食べかすが詰まったり、硬い食べ物で刺激されたりすると、強い痛みを感じることがあり、急性の炎症になることもあります。
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応急処置
むし歯などが原因で痛みがある場合、歯の神経を刺激していることが疑われます。汚れを取り、薬を詰めるなどして痛みを和らげる必要があります。しかし、むし歯の程度によって、行える処置が限られ、すぐに痛みを取ることが難しい場合もあります。なるべく痛くなる前に治療しましょう。
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インレー
インレーとはむし歯の治療で失われた歯の形を修復するの治療法のひとつで、治療ではむし歯を削ったあと、型どりをして作った模型上で、失われた部分の形にあわせて作成します。できた修復物は歯科用接着剤(歯科用セメントなど)で歯に取り付けるものです。型どり、取り付けの最低2回は通う必要があります。また、素材には金属、セラミックなどがあります。
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むし歯の予防
むし歯のなりやすさにはある程度体質も影響しますが、どの場合でも予防には適切な歯磨きの習慣のほかに、食事(甘いものなど)を中心とした生活習慣の改善が必要になります。
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小児のむし歯
乳歯は永久歯に比べて歯の質は弱く、酸に溶けやすいため、むし歯になりやすく、むし歯の進行が早く、重症なむし歯になりやすいという特徴があります。また、萌(は)えかわる歯だからと考えて重症なむし歯(神経の死んだ歯)を放置しておくと、顎の骨に炎症が広がり、顎が腫れてきたり、乳歯の下にある永久歯が障害を受けて異常な形になったり、萌(は)えかわる順番(抜ける順番)が変わって、歯の萌(は)えるスペースが少なくなって永久歯の歯並びが悪くなったりすることがあります。  また永久歯が萌(は)えるのはだいたい6歳頃からですが、萌(は)えたばかりの永久歯は、乳歯と同じようにむし歯になりやすいため、永久歯のむし歯の予防を含めて、萌(は)えかわりのころには定期的な健診が必要です。
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歯髄炎
歯の神経はむし歯の進行、歯の外傷や、むし歯治療(切削)時の刺激によって炎症が引き起こされ、ときに激しい痛みが生じます。通常むし歯があると、冷たいものや甘いものなどの刺激によって痛みを生じ、歯髄充血の状態を呈しますが、充血がおさまると痛みは消失します。しかし、むし歯によるさらに強い刺激が加わると、歯髄は炎症状態(歯髄炎)を生じて、何もしなくてもズキズキした痛みが持続した状態や軽い刺激で強い痛みを感じる状態になります。こうなった場合は、神経への刺激を減じたりする治療(覆髄)や神経を除去する治療(抜髄)を行う必要があります。
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知覚過敏
むし歯以外の原因で歯がしみる場合、知覚過敏である可能性が高いと考えられます。知覚過敏の多くは、根の一部が露出したり、表層の固いエナメル質が削れて、神経に刺激が伝わりやすくなって生じます。間違った歯磨きの方法や、歯周病、かみ合わせの異常などが原因で起こり、程度によって様々な治療法があります。専門の医師にご相談ください。
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楔状 くさびじょう 欠損
歯と歯茎の境目あたりの歯の表面がくさび状(木を斧で倒す時の削れ方に似た形)に減っていく病気です。原因にはかみ合わせ、不適切なブラッシングなどがあります。無症状のことも多いのですが、知覚過敏(歯がしみる病気)を引き起こすこともあります。治療が必要かどうかは専門家にご相談ください。
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レジン
レジンとはむし歯治療用の樹脂(プラスチック)素材です。むし歯によって失われた部分に直接詰めて形を整える治療のときに使用します。歯の色をした詰め物で、審美性にすぐれますが、金属などの材料に比べると強度に劣るため、むし歯の場所や大きさ次第で使用できない場合があります。
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ホワイトニング/漂白
変色してしまった歯を、削らずに白くする方法です。いくつか方法が有りますが、歯の状態では行えない場合もあるため、専門医師の診断を必要とします。
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歯周病、根の病気関係

歯周病
歯は歯周組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨)によって支えられています。歯磨きが十分でないと歯の周りに歯垢(プラーク)が付着し、歯垢中に存在する細菌が出す毒素によってむし歯だけでなく、歯のまわりの歯肉に炎症が起きます。その炎症の状態が継続すると、その下の歯周組織にも炎症がすすみ、歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に溶けてしまい、歯がグラグラと動揺するようになります。この状態を歯周病といいます。
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歯周病の原因と症状
歯の周りの歯茎が腫れて、それが持続している場合は、歯周病(歯周炎)が進行していることがあります。原因は歯周病細菌だけではなく、生活習慣や、全身疾患など様々な要素が関わっています。また、疲れが溜まって、全身の免疫力が弱まっている時などに歯茎の痛みや違和感と言った症状が表れやすくなる傾向にあります。状態によって、軽度~重度まで様々な段階があり、それぞれの段階に応じた治療が必要となります。
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侵襲性歯周炎
一昔前は、若年性歯周炎や早期発症型歯周炎と呼ばれていた若い時期に発症・進行してしまう歯周炎です。特徴としては、①全身的に健康である(血液検査などで問題がない。口の中にだけ症状がある)、②急激に歯槽骨が破壊される、そして、③家族性に発症する(同一家系内に発症する者がいる)―の3点があります。そのため、遺伝的な病気であるといわれていますが、いまだにその原因は不明なままです。専門的な治療を早期に受ける必要があります。
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歯石
歯垢(プラーク)が石灰化して石のように変化した沈着物です。歯ブラシでは取り除けないので、専門的な器具を用いて取り除きます。放置すると、歯周病が進行してしまいます。
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根尖性 こんせんせい 歯周炎
根尖性歯周炎とは、様々な原因によって歯の神経(歯髄)が死んでしまい、根の先の歯根膜や歯槽骨の中に炎症を生じている状態のことです。歯の根の先に膿がたまってしまうと、噛んだ時や、歯を指でコンコンとした時に痛みを生じ、炎症がひどくなると歯茎や顎が晴れる場合があります。治療には、根の中をきれいに掃除(死んだ神経や細菌感染した歯質を除去する処置:根管治療)して、炎症を治し、最後には、神経の代わりとなる薬を根の中に詰める必要があります。
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口臭
口臭には、①生理的口臭、②飲食物・嗜好品による口臭、③病的口臭などがあります。その中で治療が必要となるのは「病的口臭」ですが、その原因の約90%が口の中にあります。
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専門的な歯・口の清掃(PMTC)
毎日の歯磨きでは落ちにくいお茶などの外来着色物や歯磨きでは取り除けない歯石などを除去します。 主に歯周病の予防・メンテナンスとして行われ、歯ブラシでは磨くことができない歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝)内の歯の面を特殊な機具やブラシ等を使用してきれいに磨き上げ、汚れを取り除きます。
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妊娠関連性歯肉炎
女性ホルモンの増加は、ある種の歯周病菌の増殖を助け、血管の拡張や透過性を高めます。その結果、歯肉に炎症が現れ、歯肉が赤く腫れ出血しやすくなります。妊娠性歯肉炎は、歯垢(プラーク)の増加よりもホルモンの影響が大きいとされていますが、歯磨きの徹底や歯石を除去することで歯肉炎の予防や改善が可能です。
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剥離性歯肉炎
慢性的に歯茎の粘膜の表面が剥がれて痛みを生じる疾患で、難治性の歯肉炎とされています。多くの場合は閉経前後の女性に多く、歯磨きなどで歯茎の表面が簡単に剥がれて擦りむいたようになり飲食時などに痛みを生じることで自覚します。治療には、含嗽剤、副腎皮質ステロイド軟膏を用いた対症療法が中心となります。
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薬物性歯肉増殖症
抗けいれん薬(てんかんの治療薬)、降圧薬(高血圧症や狭心症などの治療薬)、免疫抑制薬などの副作用によって歯茎が増殖する疾患です(歯茎の増殖が必ず起こる訳ではありません)。しかしながら、稀に著しく歯茎が増殖してしまう場合があるので注意が必要です。口腔内を清潔に保つことができていれば、薬剤の変更によって劇的に歯肉増殖は改善します。
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咬合性外傷
咬みあわせの力が特定の歯に集中して大きくかかり、歯や歯周組織(歯肉、歯を支える骨)に損傷を与える状態のことを言います。特定の歯の噛み合わせが高く感じたり、浮いたような感じやグラグラすると感じる方は、歯科医院で相談することをお薦めします。歯並びが悪い方や噛み方に癖がある場合は要注意です。
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歯根嚢胞
歯根嚢胞とは、根尖性歯周炎のひとつで、歯の根の先に形成された骨の中の袋状の病気(嚢胞)のことです。袋の部分は皮のようになって、中には膿などの内容液が入っており、徐々に増大していきます。治療法は、歯の根の中を掃除するといった治療(根管治療)を行うことが第一ですが、それでも治癒しない場合などは、外科的に嚢胞の摘出と共に原因歯の抜歯が行われます。しかし、場所や歯の状態によっては歯を残すことができ、その場合は、歯肉を切開して骨を削除して、嚢胞の摘出と感染のもととなった歯根の尖端部の切除(歯根端切除術)を行います。
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生活習慣指導
むし歯以外で歯の一部が失われていく原因には、歯磨き習慣、食習慣、環境などが関わっています。原因が多岐にわたるため、専門医師の診断が必要であり、生活習慣の改善が求められることが多くあります。
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補綴系(かぶせ、入れ歯関係)

クラウン
むし歯や、噛み合わせでのすり減り(咬耗)などにより噛み合わせの部分などの歯質が大きく欠けたり減ってしまった場合に、噛み合わせや見た目を回復するために、残った歯質の全体を覆う形で装着する歯の形をした修復物です。残った歯質の上に被せる“冠”となることからクラウンと言われるようになりました。金属製,陶材,合成樹脂性のものがあります。なお、よくいわれる差し歯とは、歯の根にポストと呼ばれる支柱を装着して数服をしたクラウンのことを指します。
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ブリッジ
虫歯や歯周病などにより歯がなくなってしまったところの噛み合わせを回復する治療で、なくなった歯の両隣の歯を支えにして、この歯の間の歯がなくなったところを人工の歯でつなげる装置です。残った歯を橋桁とみなして、歯のない部分を橋渡しすることからブリッジと言われます。金属製,陶材,合成樹脂性のものがあります。
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接着ブリッジ
クラウンなどを用いて、歯がないところに隣接する歯を橋桁とする従来型のブリッジに比べ、歯質を削る量が極めて少なく、歯へのダメージが少ない新しい方法。ただし適応症が有り、すべての症例に用いることは出来ません。接着力の高い接着剤の開発により可能となりました。金属製,陶材+金属製,合成樹脂+金属製のものがあります。
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審美修復
歯や口もとは、個性として重要な要素ですが、時として、大きな精神的ストレスの原因にもなります。また、小さい頃に服用した薬物の影響や従事する職業の影響などにより、歯は変色したり、いびつな形をしたりします。このような、歯の色や形、歯並びなどの口元の審美的な問題を、歯の位置はそのままに、人工的なきれいな歯で修復する治療を審美修復といいます。歯全体を陶材など自然な歯の色を有する材料でできたクラウンやブリッジで歯全体を覆って修復する方法や、見える表面の部分だけを削って、歯の色をした人工材料をはめ込む治療など様々です。
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入れ歯/義歯
自分の歯がなくなって咬めなくなったり見た目が悪くなったりした場合に、歯がなくなったところに人工の歯をつける装置。1)総入れ歯(全ての歯をない場合に作る入れ歯)、2)部分入れ歯(自分の歯が残っている場合に残っている歯に金属の留め金をかける入れ歯)の2種類があります。ブリッジに比べて歯を削る量が少ないこと、さらに取り外しできるためお口の中を掃除しやすいことが利点です。
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鼻咽腔閉鎖不全症
喉の奥(咽頭部)と鼻腔は「のどちんこ」を含む柔らかい軟口蓋とよばれる弁状の組織で閉鎖され、これにより、飲み込みの時に鼻に液体が漏ることが防がれ、また、会話の時に空気を鼻腔と口腔に上手に振り分けがなされています。しかし、この機能が十分でないと、会話をする時に空気が鼻から漏れることになり、このような鼻腔と咽頭部の閉鎖機能が障害されている疾患のことを鼻咽腔閉鎖不全症と言います。先天的な疾患である口蓋裂を有する患者さんに見られるほか、全身疾患に起因した軟口蓋の筋肉の運動障害や口腔内の組織欠損でもみられます。特殊な治療器具を装着することで、鼻から漏れる空気の量を減らし、結果的に会話しやすくなります。詳しくは専門医に相談して下さい。
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スポーツ歯学
スポーツ活動に伴う危険性(外傷性疾患(顎の骨折、歯牙脱臼、脳震とうなど),病気)に対して、マウスピースなどの歯科的な予防処置を行います。さらに、スポーツパフォーマンスの向上を目的として、噛み合わせの面からアプローチを行います。
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口腔インプラント
歯がなくなってしまった歯茎(歯槽骨)に、人工の根(人工歯根=インプラント)を手術により埋め込み、その後、歯の形をした被せを装着することにより噛み合わせや見た目の回復を図る方法。治療はほぼ自費診療になり、事前に骨の形など十分な検査を行う必要があります。
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顎関節症
下顎の骨は、耳の前のところで筋肉や関節円板を介して頭を構成する骨と繋がっています。ここを顎関節といいます。顎関節部分で下顎骨が左右おのおのが調和して動くことによりきわめて繊細かつ複雑な顎の運動が行われています。顎関節症は慢性的な刺激により関節円板や周囲筋肉に障害が生じて発生する疾患の総称で、口の開け閉めの時にパキっと音が鳴ったり、口を大きく開けにくくなったりする病気です。顎関節症の症状の一つに、顎関節部分の痛みがありますが、その痛みは大きく口を開けた時、強い力で噛んだ時、噛み締めた時などの顎の運動によって発生しますが患者さんそれぞれで痛みは異なります。顎関節症の原因には、噛み合わせや噛み癖、歯ぎしり、精神的ストレスなど様々です。多くは自然に症状が軽減するのですが、難治性のものもあります。本院では、顎関節周囲の組織の変化の有無などを核磁気共鳴画像診査(MRI)によって診断をして、治療にあたっています。
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歯ぎしり
無意識のうちに上下の歯を噛み締めたり、ギリギリ擦り合わせたりすることを「歯ぎしり」と言います。「歯ぎしり」は睡眠中以外にも日中にも無意識のうちに行っている場合があります(噛みしめ)。睡眠中のものは通常の噛む力よりも強い力が発生し、日中の噛み締めは弱い力が長時間持続します。これらにより、口や顎の関節のだるさ、歯の噛み合わせの面のすり減りや歯の破折が生じる事があります。
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噛み合わせの治療
噛み合わせの治療には、すでに萌(は)えている歯の位置を移動して噛み合わせを作っていく矯正治療のほかに、歯の位置はそのままに、歯の形を被せ物(クラウン)などで変えたり、歯がなくなった場所にその代用となる装置(ブリッジ、義歯、インプラント)を装着するなどして、噛み合わせを新たに作ったり、以前のように回復させる治療があり、これを補綴(ほてつ)治療と言います。
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特殊(金属床)義歯
一般的なプラスチックが多く使われた取り外し式の入れ歯では、装着感などで満足できない場合の選択肢に、保険外診療(私費診療)になりますが、装着感がよい、薄い金属床を用いた特殊な入れ歯があります。プラスチックの代わりに薄い金属を用いることで入れ歯の厚みを薄くすることができるため、着け心地がよく、強度もあり、噛みやすくなります。また従来の金属製の留め金の代わりに合成樹脂性の留め金を使うことで見た目が良くなる入れ歯もあります。また、残った歯の根をしっかりとした留め金代わりのアタッチメントとして使う治療方法など、様々な義歯治療があります。まずは、専門医に相談することをお勧めします。
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顎顔面補綴
がんを含む腫瘍などの疾患により、上あご・下あご・舌または顔面の手術を受けられた方に対して、特殊な入れ歯や装置を作り、手術後の噛むこと、喋ること、飲み込むことなどの障害や“見た目”を改善することを目的とします。装置の種類も多く、適応症も異なります。
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矯正・小児歯科関係

不正咬合の原因と治療の時期
不正咬合とは、上下の歯がうまくかみ合っていない状態をいいます。不正咬合には、上下のあごの骨の位置がずれている骨格性のものと、歯とあごの大きさのバランスなどが悪いことによってガタガタや隙間が生じる歯性のもの、それら複合型など、さまざまなパターンが考えられます。矯正歯科治療を始める時期は、小さなお子さんから高い年齢までその人によって違いますが、もし、小さなお子さんで将来の歯並びが気になる場合には、適切な矯正歯科治療の開始時期を逸しないために、前歯が永久歯に萌(は)えかわる時期(6歳~8歳頃)に、矯正歯科で一度相談を受けられることをお勧めします。
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おとなになってからの歯列不正
歯はお互い支え合って萌(は)えています。もし、むし歯などで歯を抜いてそのままにしておくと、隣のの歯が倒れかかってきて、歯並びは変わっていき、また、上下の噛み合わせの関係も変化して、うまく噛めなくなることがあります。また、高齢者の方にみられますように、歯周病などで歯を支える力が弱くなると、上の前歯が出てきたりして歯がガタガタになってくることがあります。このような状態を放置しておくと、ますます歯並びや咬み合わせが悪くなる可能性があります。
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埋伏歯、先天欠如
乳歯は上下それぞれ10本ずつで20本、永久歯は親知らずをのぞくと上下それぞれ14本で28本が萌(は)えてきます。しかしながら、年齢がたっても予定の歯が萌えてこないことがあります。その場合、萌えてこれないで骨の中に埋まっている場合(埋伏歯)や、もともと歯がない場合(先天欠如)が考えられます。いずれの場合も、レントゲン写真で確認できます。埋伏歯の場合、歯の頭のところに嚢胞や腫瘍が存在して、萌えてこれない場合もあります。いずれにせよ、埋伏歯は早期に発見すれば、萌えてこれない原因を除去したり、周りの骨を削って、萌えやすいようにすることもでき、変な方向に埋まっている歯は矯正治療で正常な位置に萌えさせることもできることもあります。なお、永久歯の先天欠如の場合、抜け落ちる予定の乳歯が残っているますので(晩期残存)、その歯を大事に使い続けることが一般的ですが、乳歯ですので永久歯にくらべると歯根が短く、歯の質は弱いので、歯の寿命は短いと思ってください。
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開咬、反対咬合
奥歯が噛んでいるときでも上下の前歯が当たらず、上下の歯の間に垂直的に隙間が空いている状態を開咬と言います。また、上顎の歯列は下顎の歯列より大きいことから、上下の歯で咬んだ時は、上の歯は下の歯よる外側に出っ張っているのが正常です。しかし、上下の顎の大きさのバランスがくずれていたり歯並びが悪いと、この関係が逆になり、下の歯の方が横や前に張り出している状態を呈します。これを反対咬合と言います。いずれの場合も、前歯の接触が損なわれるため、食べ物をうまく噛み切られないことがあります。
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顎偏位、顎変形症
上下の顎が左右のどちらかにずれている、咬む面が斜めになっている、下顎の大きさが左右で異なる等、上下の顎の骨の大きさや形の不調和が原因で生じる非対称の状態を顎偏位といいます。上顎前突症、下顎前突症、上下顎前突症のうちで骨格性に原因があるものを含めて、顎変形症といいます。骨格に問題がある場合、通常の矯正歯科治療だけでは咬み合わせや審美的問題を改善できないことがあり、そのような場合、顔の歪みを根本的になおすために、顎の骨に対する外科手術を合わせた外科的矯正治療を行うことで、改善をはかります。
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小児期における歯の問題
乳歯は永久歯が萌(は)えるためのスペースを作っておく役目があります。そのため、乳歯がむし歯などで早くになくなってしまうと周りの歯が倒れてきてスペースが少なくなり、永久歯の歯並びを悪くする場合があります。逆に永久歯が萌(は)えてきても乳歯が自然に抜けずに残った場合(晩期残存)も歯並びに影響する場合があります。最近は永久歯の数が足りない(先天欠如)お子さんもおられるので、小児期における様々な歯の問題は、定期健診による早期の発見が良い結果を得る場合が多いです。
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叢生 そうせい
歯が決められたところにきれいに並んで萌(は)えず、ガタガタした歯並びの状態を指します。歯並びは個性の一つですが、歯が重なったり八重歯になっている部分では歯が磨きにくく、歯周炎にかかりやすく(早くに歯をなくす原因にもなります)、また、笑う時に歯並びが気になって手で口元を隠してしまう等、見た目が気になり、精神的にもストレスになってしまうこともあります。歯並びや将来の歯の寿命などを気にされている場合は、年齢に関係なく矯正歯科で相談されることをお勧めします。
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乳歯の晩期残存
永久歯は先に萌(は)えている乳歯の下で徐々に成長して、乳歯の歯根を吸収しながら萌(は)えてきます(乳歯はぐらぐらして自然に脱落します)。しかしながら、この歯根の吸収が生じない状態では、乳歯は脱落することなく、いつまでも残ります。これを晩期残存といいます。永久歯がない場合(先天欠如)や永久歯の萌(は)える位置や方向がずれてしまい、乳歯の歯根の吸収が生じなかった場合などに晩期残存が発生します。後者の場合は、乳歯を抜いてあげないと永久歯は正しい位置に来ることができませんので、早い時期の歯科医院での相談をお勧めします。
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上顎前突症、上下顎前突症、下顎前突症
上顎の歯がが下顎の歯より強く前に出ていることを上顎前突症、下顎の歯が上顎より出ていることを下顎前突症、上と下の前歯はちゃんと咬めているのに口元全体が前に出ていること上下顎前突症といいます。これらは上下の顎の骨の大きさや位置によって決まることが多いですが(骨格性)、前歯の歯の傾きや歯並びでこの状態を示す場合(歯性)があります。いずれも、審美的な問題を伴うことが多く、また、口が閉じにくい、噛みにくいなどの機能障害も伴います。治療はその程度によって異なりますが、歯並びの治療だけで治す場合のほか、外科的な治療で骨格の不調和を解消する場合(外科矯正術)もあります。いずれにしても、噛み合わせの治療が必要ですので、外科矯正術に造詣がある矯正歯科を受診され、相談されることをお勧めします。
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口唇裂、口蓋裂の矯正治療
口唇裂・口蓋裂のお子さんでは、小さい頃の手術の影響で上あごの成長が障害されることがあり、歯が萌(は)えるスペースが不足して歯並びが悪くなったり、受け口になったりして、かみ合わせがうまくいかないことがあります。こうした顎の骨の成長や歯並び、噛み合わせの問題に対処するために、早期から矯正治療が始める必要があり、子どものころから、上あごの成長や歯の萌(は)えかわりを助ける治療、歯が萌(は)えそろい、あごの成長が落ち着いた段階での最終的なかみ合わせを整える治療を行います。また、歯が萌(は)えるべきところに骨がない場合(顎裂)は、骨の移植術を行って改善し、歯を並べていくこともあります。なお、手術前の口唇口蓋裂の赤ちゃんに対しては、唇や口蓋の裂の閉鎖手術まで顎の成長をコントロールする哺乳床(Hotz床)を用いることがあります。
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全身疾患と口腔管理

障がい者歯科治療
身体障がい者,知的障がい者,発達障がい者あるいは有病高齢者等、歯科診療を安全に行うために特別な支援が必要な患者様を対象とします。その支援には、身体の緊張を緩和する方法,歯科治療への恐怖を和らげる心理学的方法,治療の内容を分かりやすく説明する視覚支援および歯科麻酔医と共同で行う麻酔下歯科治療などがあります。患者様の全身状態,さらには患者様の生活に応じた対応・支援が必要なため、医療関係,福祉関係等の多職種と連携して行います。
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がん治療と口腔ケア
がん治療中は、放射線治療や化学療法の影響によって口内炎や口腔乾燥、むし歯の増加や味覚異常などが起こる可能性があります。その症状は様々で個人差があり、日々の生活にも影響を及ぼします。口腔内には様々な細菌が存在し炎症や感染症を引き起こす可能性があります。歯科衛生士はがん治療中の患者さんやそのご家族に口腔衛生管理や口腔感染管理の重要性を伝え、より効果的な口腔ケアの方法や具体的な予防策について提案しています。
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睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に激しいイビキが発生したり呼吸が止まってしまうことがあります。多くはノドの空気の通り道が詰まる(閉塞)、もしくは詰まりそうになることで発生し、ひどい場合は、夜間に熟睡できず、日中に急に眠くなったり集中力が欠けたりしてしまいます。日常的に生じている場合は睡眠時無呼吸症候群が疑われるため、呼吸器の専門医の診察と治療が必要になります。十分な検査の後、その原因によりいくつかの治療法が示されますが、その中に歯科的な治療方法(=マウスピース)も示されることがあります。まずは、かかりつけの医師にご相談下さい。
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歯のクリーニング
歯は毎日、食べ物にさらされていますが、多くは適切な歯ブラシできれいに保つことができます。しかし、お茶などの嗜好品による着色や、歯並びや修復物などがあってどうしても磨きにくいところなどがでてくることもあり、その場合は、定期的な歯科医師や歯科衛生士による専門的な清掃(クリーニング)が、歯を守る上で重要になります。
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摂食嚥下障害
嚥下するために必要な口腔内での食物処理が上手くいかない、食物を口腔から胃へと移送させることが上手くいかないなど、飲み込み(嚥下)機能の障害のこと。中枢性の病気が原因の場合のほかに、口腔がん治療などによる局所の原因などがあり、口腔内に食物を取り込む、口腔内で食物を処理する機能(吸啜動作、咀嚼動作など)に問題がある場合も含まれます。
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手術前の専門的口腔清掃
全身麻酔の多くは、口から気管に直接麻酔用のチューブを挿入(気管内挿管)して呼吸の管理が行われます。汚い状態の口のままですと、挿管操作の時や術後しばらくチューブを挿管した状態が続く場合などでは、気管の中に口の細菌が入って肺炎の原因になってしまう可能性があります。また、グラグラした歯があると、挿管操作中に歯が抜けたりすることがあります。そこで、全身麻酔下で手術を受けられる患者さんを対象に術前に口腔内の診査や清掃を行うことで、歯への障害や歯や口の細菌による術後細菌感染症などの合併症を未然に防ぐことができるようになります。
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歯科金属アレルギー
口の中の粘膜や皮膚が赤く腫れたり変色する場合の原因の一つに、歯科金属アレルギーが考えられています。これは、歯の詰め物やかぶせの金属,接着材,薬の成分が唾液に溶解しアレルギー反応を起こすことによって発症します。歯科用金属は種々の金属の合金であるため、その金属成分の検査と患者さん自身の金属に対するアレルギー反応の有無の両方の検査が必要となります。なお、アレルギー反応が認められますと、反応が出なない金属や材料で被せ物や詰め物を作り替えなければなりません。
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口腔外科疾患関係

親知らず・智歯周囲炎
親知らずは、智歯や第三大臼歯とも呼ばれ、最後に萌(は)えてくる永久歯です。上下左右ともありますが退化傾向があるため智歯を持っていない人も多くなってきています。現代人は顎の大きさが小さいためしっかりと智歯が萌(は)えるスペースが少なくなり、埋まっていたり(埋伏智歯)、半分埋まった状態で萌(は)えていたり、前の第二大臼歯を押すように斜めや水平方向など変な方向に萌(は)えてくることが多くなってきています。そのため、萌(は)えている歯のように歯ブラシでは十分きれいにできない環境から、いずれむし歯になりますが、往々にして、歯の周囲組織に炎症を生じて(智歯周囲炎)、腫れや痛みを伴うひどい症状を呈します。噛み合わせに関係していない智歯は、このような症状の発生や再発を防ぐ上で抜歯が必要となります。 ただ、下顎の親知らずは、親知らずの根の先に唇の感覚を司っている下歯槽神経が走っており、抜歯によって傷ついたりする危険性があります。また、歯茎を切ったり骨を削ったりということが必要ですので、手術後の腫れなどがでる可能性があり、他の萌(は)えている歯のような抜歯とは異なり、むしろ小手術となりますので、抜歯については担当医師とよくご相談ください。
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顎骨周囲膿瘍
細菌の感染に対して、薬や身体の免疫力によって炎症の急性期を無事すごすと、炎症によって作られた膿(うみ)が組織の中に作られます。溜まった膿は少量であれば吸収されていきますが、量が多いと(炎症がひどかった場合)は、組織の中に溜まってしまい、膿瘍という状態を作ります。顎の骨の周りは膿が溜まりやすい場所が多く、顎骨周囲炎や蜂窩織炎などでは、骨の周りに膿瘍を形成することがあり、これを顎骨周囲膿瘍と言います。溜まった膿が多い場合は、早く体外へ排出する事が必要になります(排膿処置)。
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顎骨骨髄炎
顎の骨は、身体の中で唯一の外界と交通する硬組織である歯を生やしている土台であり、歯や歯髄、歯周組織からの様々な病気から細菌感染や炎症を受け取りやすく、他の骨と違って炎症にさらされやすい骨です。骨の炎症で最も有名なのは骨髄炎ですが、顎の骨が骨髄炎を起こす頻度は極めて高いものです。症状は非常に強く、発熱や全身の倦怠感など全身症状を伴い、痛みが顎全体におよびまわりの腫脹を伴います。このような急性で病気が進む場合と慢性的に無症状で骨髄炎が進むこともあります。発端の多くは症状があった歯の病気の放置からくるものです。
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口唇口蓋裂
口唇口蓋裂は胎生期で何らかの原因で生じる顔面組織の形成障害のひとつで、口唇や上顎(口蓋)、軟口蓋(のどちんこ)が、所定の位置で左右の組織が癒合せず、「裂」という形が残った状態の病気です。5 600人に一人の割合で発生する頻度の高い口腔顔面領域の先天性の病気です。顔という形態的な問題のみならず機能的な問題(哺乳、構音、噛み合わせ)を解決する上で、手術的治療のみならず成人期にかけて様々な治療が行われます。そのため、一貫的な治療が必要であり専門性をもった総合的治療機関での治療が適切です。当院では口唇裂・口蓋裂総合治療センターを設けており、一環治療を実践しています。
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舌乳頭
舌表面の粘膜にある多数の小さな突起のことを舌乳頭(ぜつにゅうとう)と呼びます。その形状によって、糸状(しじょう)、茸状(じじょう)、有郭(ゆうかく)、葉状(ようじょう)などに分類されます。糸状乳頭以外の舌乳頭には味蕾(みらい)という味を感じる器官があります。有郭乳頭、葉状乳頭は舌の奥に存在し確認しにくいため、舌腫瘍と間違うこともあります。大きくなる傾向を認める場合、傷を伴ったものの場合は舌腫瘍の可能性もあるため、専門医への受診をおすすめします。
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口内炎(アフタ)
口腔粘膜の小さな円形の赤味や強い接触痛を伴う炎症疾患です。広範囲に赤くただれたり、直径数ミリの浅い潰瘍を示すものが有ります。潰瘍は同時に数個出来たり、あちこちに繰り返し発生するものもあります。1,2週で自然に治ることが多いのですが、再発性、多発性のもの、2週間以上な治らないもの、1cm近くの大きな潰瘍、しこりを伴うものなどは全身疾患と関連する病気や他の粘膜疾患、腫瘍の可能性もあるので、自己判断にたよらず専門医の受診をお勧めします。
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白板症
白色を呈する口腔粘膜疾患のひとつです。口腔粘膜は入れ歯や歯の慢性的な刺激が原因となって、白く変化する場合(角化の亢進)がありますが、白板症の多くは、原因はあきらかではありません。粘膜が白くなるのは、粘膜表層の上皮部分での変化のあらわれで、悪性化(腫瘍化)が進む時の重要な変化の一つでもあります。そのため、白板症は前がん病変(放置するとがん化する病気)のひとつとされ、また、がんの初期と類似した病態であることから、早急な専門医による診察が必要な疾患です。
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ほくろ、着色
口の中の黒い病気にはいわゆる皮膚とおなじ、ほくろ(黒子)があります。また、むし歯の治療などで削られた金属が粘膜に沈着(入れ墨のように)することで黒くなっていることもあります。ただ、頻度は低いのですが予後が悪い「悪性黒色腫」も口腔粘膜に発生します。大きさに変化があるような場合は要注意です。
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口腔がん(総論)
口腔がんは、一般に舌をはじめとして頬・口底・上下顎歯肉・口蓋の口腔粘膜上皮から発生するがんのことを言います。他の臓器の悪性腫瘍と異なり、肉眼で発見しやすいので、患者さん自身や歯科の先生に見つけられて、早くに専門機関を受診される方もおられますが、口のがんはある程度大きくなるまで症状が乏しいことから、歯医者に定期的にかかっていない場合などは、受診する時期が遅くなってしまうこともあります。口は呼吸や会話、咀嚼や嚥下などの食べ物に関する機能を有しており、この機能が大きく損なわれますと、審美面や会話でのストレスや食べ物を味わうなどの楽しみの低下など生活の質(Quality of Life)での“楽しみ”の面に大きく影響します。できるだけ、歯科医院で歯だけではなく口の粘膜の病気についても定期的に診てもらってください。 口腔がんの原因は、たばことアルコールと言われています。また、歯牙の鋭縁や義歯など機械的刺激が誘因となることがあります。粘膜のただれが、2週間以上治癒しない場合や、歯牙の鋭縁など機械的刺激を取り除いても治癒しない場合は、専門医の受診をお勧めします。
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口腔良性腫瘍(総論)
口腔内に発生する良性腫瘍には、歯に関係のある組織に由来する歯原性(しげんせい)のものと、歯に関係のない組織に由来する非歯原性(ひしげんせい)のものがあります。歯原性の腫瘍は、歯胚(しはい:歯の芽)を構成しているさまざまな組織のうちの一部の組織の細胞が増殖して、腫瘍化することにより生じます。顎の骨などによく発生し、口以外では発生しませんので、口に特有の腫瘍といえます(よく歯の腫瘍と誤解されますが、歯が大きくなったりする病気ではなく、他の腫瘍と同様に柔らかい腫瘍組織からなります)。一方、非歯原性の腫瘍は、他の臓器でみられるのと同様に、臓器を構成する上皮や、血管、リンパ管、筋肉、骨、軟骨、脂肪、線維組織、神経などの組織が由来で腫瘍化することにより生じます。口腔にはこれら多くの種類の腫瘍が発生し、診断には専門的知識が必要であるため、専門医への受診をおすすめします。
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軟組織腫瘍
口腔も他の臓器同様、様々な腫瘍が発生します。臓器を構成する線維組織、脂肪、神経、血管、リンパ組織、筋、唾液腺などからであり、ほとんどは粘膜の上に瘤(こぶ)のようにできたり、粘膜下のかたまりやしこりで確認されます.ただ、口腔内に多い、唾液腺腫瘍には悪性のものがありますので、しこりや瘤を感じた場合、必ず専門医師での診察を受けてください。
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軟組織外傷
口の中の粘膜の外傷の原因は、日常生活での歯による誤咬や食べ物によるもの(火傷)から、顔面の外傷に伴うものまで様々です。舌などの粘膜の下には多くの血管が存在し、出血が多い外傷の場合は呼吸が困難になります。圧迫だけでは止血しない場合は、傷の大きさによっては縫合処置が必要です。口腔外傷で最も気をつけていただかなければならないのが、軟口蓋(ノドチンコあたり)の外傷で、小さなお子さんがお箸などの先の尖った物を口に加えて転倒などしたりすると傷つく場所です。この場所のすぐ奥は脳があり、口だけの症状では脳への外傷の有無の判断ができません。かならず、脳外科を含めた診断ができる医療施設の受診が必要です。
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顎関節炎
顎関節内に生じる炎症性の疾患です。関節の部分の細菌が感染することは少なく、多くは、関節へ作用しの外傷力により生じます。すなわち、転倒や偶発事故などによりアゴに強い力がかかった場合に生じます。いわゆる「つき指」をイメージすると理解しやすいかもしれません。大きな口を開けない、硬い食べものを避けるなどしてアゴを安静にしておけば多くは自然に回復しますが、そうでない場合もあります。
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唾液腺炎
口の中を潤す唾液は、唾液腺によって産生されています。唾液腺は口中に存在する小唾液腺のほか、3大唾液腺と呼ばれる耳下腺、顎下腺、舌下腺があり、多くの唾液の産生を行っています。耳下腺と顎下腺は口から離れたところにあり、産生された唾液は、導管とよばれる一本の長いホースを通して口の中にある開口部から分泌されます。このような構造ですが、時として細菌やウイルスが原因となり炎症を生じることがあります。 最も有名なのはウイルス性の唾液腺炎である流行性耳下腺炎、俗に言う「おたふくかぜ」があげられます。ムンプスウイルスの感染によって生じ、一度かかると免疫ができて再感染はしません。また細菌性の唾液腺炎は、唾液の分泌が少ない時に口のなかに常在する菌が唾液腺の開口部から導管内に侵入して逆行性の唾液腺組織に炎症を生じるものです。加齢に伴う唾液産生量の低下や唾石症での唾液の通過障害なども細菌感染の誘因になります。急性期には唾液腺に痛みや腫れが生じ、導管を通じて開口部から膿が出たりすることもあるため、専門医への受診をお勧めします。
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BMS/口腔乾燥症
口腔内灼熱症候群(バーニングマウス症候群)は口の中に慢性的、持続的にヒリヒリ、カーっとした痛みまたはピリピリした不快な異常感覚を自覚し、臨床的に明らかな原因疾患を認めない病態を言います。同様な痛みを舌のみで自覚する場合を舌痛症といい、舌痛症は口腔内灼熱症候群の一症型と考えられます。詳細については舌痛症の項を参照してください。
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三叉神経障害・三叉神経麻痺(手術後)
三叉神経は、主に顔面領域の感覚と痛みを脳に伝える神経で、三叉神経障害という言葉は、顔面の感覚と痛みが正常に伝わらない状態を指します。症状は感覚と痛みが全く伝わらない麻痺、感覚が鈍い鈍麻、あるいは接触することで強い痛みを感じる痛覚の過敏などがあります。原因は神経線維が疾患,外傷,手術などで損傷することによります。明らかな原因があればそれを取り除くことで完治が期待されますが、障害が長引くこともあります。
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口腔顔面痛
口腔と関連した顔面および周囲の痛みを表す総称で、しばしば原因が分かりにくい場合に使われます。痛みの原因は、歯,歯茎,顎関節,咀嚼筋,顔面の他の器官、神経系などの多岐にわたるので、患者さんの訴えが直接原因を示すとは限りません。複数の診療科にまたがった系統的な診断によって、正確な診断と効果的な治療が可能になりますが、経過が長引くと完全に痛みを取り除くことは難しい場合もあります。
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舌下神経障害
舌の運動障害は、通常、腫瘍、痛みや腫脹を伴う炎症によるものが多いですが、舌運動を司る舌下神経の障害による可能性もあります。舌の突出運動を行うと麻痺側へ舌が向き、のちに神経障害が生じた側の筋力低下や萎縮が生じます。原因は頭蓋基底部の腫瘍、骨の異常、脳卒中、首の外傷などがあります。
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口腔カンジダ症
カンジダ菌は真菌(かび)の一種です。口腔内にも存在しており、乳児や病気等で免疫力が低下した状態では、粘膜の表面に白い苔のようなものが付着し増殖することがあります。拭い取ることができますが、専用のお薬で治療を行う必要があります。白いものができなくても、症状を出す事があり、口の全体的な痛みの原因としてこの疾患が考えられる場合があります。診察には細菌検査が行われます。
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顎骨周囲炎・ 蜂窩織炎 ほうかしきえん
骨の中に生じる歯周炎(根尖性歯周炎)など歯周病は、病気が重篤化すると歯肉だけでなく顎骨の周りの軟組織に炎症が広がります。このような状態を顎骨周囲炎といい、非常に広い範囲で炎症が進むと、蜂窩織炎という病名で呼ばれます。下あごの骨の周りには炎症が進みやすい経路があり、その経路は命にかかわる咽頭や肺、心臓へ繋がっており、そこにつながる以前においても呼吸困難や嚥下障害を生じ全身状態を悪化させます。顔やのどの痛みを自覚されましたら、自己判断は避け早急に専門医療機関を受診してください。
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歯性上顎洞炎
上顎洞とは、目と口の間にある鼻の穴の横にある薄い骨で囲まれた空洞のことで、ここに炎症が生じると、鼻汁の過多や鼻閉などの症状をもつ上顎洞炎(蓄膿症のひとつ)が生じます。通常の上顎洞炎は鼻炎や鼻中隔の湾曲などで生じますが(鼻性上顎道炎)、歯の病気が原因で上顎洞にも炎症が生じ、歯性上顎道炎と呼ばれます。上あごの臼歯の根の先は上顎洞に非常に近く(時として飛び出ています)、根の病気(根尖性歯周炎)によって上顎洞の粘膜に炎症を生じ、容易に上顎洞炎を生じます。症状は片側の鼻閉や鼻汁の過多、頬あたりの痛みです。抜歯を含めた歯の治療が必要です。
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薬剤関連性顎骨壊死MRONJ・BRONJ
骨粗鬆症や癌の骨転移に対する治療には骨を強く(硬く)する薬(ビスフォスフォネート剤など)が重要な役割をになっています。しかし、時としてこの治療を行っているときに歯の病気などが引き金となって顎の骨に骨髄炎や骨が腐ってしまう顎骨壊死という病気が生じる事があります。このような治療をお受けになる前ならびに治療中には適切な予防策を講じる必要がありますので、定期的な歯科受診が必要です。
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舌小帯強直症 ぜつしょうたいきょうちょくしょう
舌下面の正中に口底部から舌の尖端にむかってみられるひだ状の組織を舌小帯といいます。この舌小帯が舌の尖端近くに付いていると、舌の前方や横への運動が制限され、舌を前方に出したときに尖端がくびれてハート型を呈します。新生児から乳児では哺乳障害の原因となっている場合や、幼児期から学童期で発音(とくにサ行、ラ行音)に影響を及ぼしている場合は、小帯形成術(小帯を切除して延長する)を行い、舌の運動制限を解消し、正常な機能に戻します。
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粘膜疾患(総論)
口の粘膜に生じる疾患は、他の消化器官と違って、ご自身を含め、基本的に目で見て、その変化が判ります。粘膜には非常に多くの種類の病気が発生し、表面の色や形状、あちこちに多発するもの、痛みを伴うものなど、表面の見た目やそれに伴う症状は多種多様であり、また、流行性のウイルス性の疾患も口の粘膜に症状がでます。このように口腔粘膜には多くの疾患があり、専門的知識を有する機関での診断が必要です。特に、内分泌疾患などの全身疾患の部分症状であったり、悪性腫瘍へ変化するものもあり、早期の診断が必要です。粘膜に生じる疾患の多くは一過性のものが多いのですが、なかなか治らす慢性的にみられる場合は、専門医への受診をおすすめします。
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口腔粘膜の潰瘍
粘膜の最表層の上皮とよばれる部分が消失し、その下の組織が露出してしまう状態を指します。歯や入れ歯など硬いものが存在している口の中では、それに接する粘膜は常に外傷的な刺激を受けやすい状態で、腔粘膜にこのような外傷性の刺激が慢性的に繰り返し加わると褥瘡性潰瘍(じょくそうせいかいよう)になることがあります。特に、とがった歯、かぶせ物詰め物との段差、あわない入れ歯などが原因になります。褥瘡性潰瘍の多くは、平たい灰白色や黄色の膜で覆われており、痛みはあまり強くはありません。慢性的な刺激をとれば10日程度で治癒してきますが、治癒しない場合は、悪性腫瘍の可能性もありますので専門医の受診をお勧めします。
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口腔扁平苔癬
レース状の白色病変と発赤を伴う病変が混在したように見える病変です。多くは、しみるような痛みを有し、左右対称に発生します。皮膚病の一つでもあります。自己免疫疾患的な側面を有しており、日によって症状が異なる事があります。難治性の慢性的な疾患で、痛みなどの対する対症療法が主となります。外観上は初期の口腔がんと類似しており、鑑別診断が必要です。また、長い経過のうちに悪性化することも稀にあるので専門医師の診察をお受けください。
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舌苔
舌の表面の伸長した舌乳頭に角質や食物がまとわりついて、白色や乳白色などの苔状に見えるものです。口臭の原因ともなり、その発生には全身状態の影響も受けます。
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舌がん
舌がんは口腔に発生する悪性腫瘍の中でもっとも多いものです。小さなものは表面の傷のようなもので痛みなどの症状を伴わないものが多く、口内炎などと見分けがつきませんが、他の粘膜疾患と異なり放っておいても自然に治りません。また、粘膜疾患の一つである白板症からがん化することも知られています。進行しますと、しこりや表面の潰瘍を伴い出血や痛みを生じ、舌の運動障害からしゃべりにくくなったり、飲み込みにくさが出現します。治りがわるい口内炎やしこりを感じたら専門医での診察が必要です。
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顎骨歯原性腫瘍
顎骨に発生する良性腫瘍の多くは、歯に関係のある歯原性腫瘍です。歯原性の腫瘍は、歯胚(しはい:歯の芽)を構成している部分が、腫瘍化することにより生じますが、多くは、レントゲン写真で円形の透過像(黒く抜けて写る)としてみられます。20歳までの若年層に多い事も特徴で、痛み等の自覚症状が少なく、歯が少ない等の理由で撮影したレントゲン検査でわかることもあります。また、骨の中で大きくなりますので、顔貌の非対称から受診される場合も少なくありません。診断には専門的知識が必要であるため、専門医への受診をおすすめします。
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顎の骨折
口は上顎(うわあご)と下顎(したあご)の骨で構成され、左右をつなぐU字型の下顎骨は、鼻やひたいとともに、顔で突出している部分で、顔のバンパーのように存在しています。そのため、転倒や運動、事故などでは力が作用しやすい場所で、顔面でも骨折しやすいところです。下顎骨はその特徴ある形から、力が作用した場所と異なる場所で骨折が生じることが多く、特に、下顎の動きを調節する顎関節と呼ばれる場所の骨折は下顎骨骨折の約30%に見られ、口の開け閉めの障害や下顎全体のズレなど大きな障害を生じます。下顎骨の骨折は折れた場所によりいくつか症状が異なりますが、共通して歯の位置関係がズレて、咬合の異常が生じます。治療は、まずズレた噛み合わせを受傷前の状態にもどさなければなりませんので、適切な診断および噛み合わせの処置(上下の歯列を噛み合わせて固定する処置:顎間固定)ができる専門機関の受診を勧めます。
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歯牙脱臼・再植
スポーツや事故、遊戯中などで外力が歯牙に直接作用しますと、歯が欠けたりするだけでなく歯の根ごと顎の骨のソケットから逸脱してしまうことがあります。この状態を脱臼といい、歯がとれかかった場合や完全に抜けてしまった場合にも、歯を元の位置に戻すこと(再植)でくっつける事が出来ます。ただし、くっつくためには歯根膜という歯の根の表面の組織が重要となります。そのため、歯根膜が残っている事、損傷していない事、汚染していない事が重要なので、抜けてしまった場合も抜けた歯を水道水などで洗ったりせず、乾燥防止のために脱臼歯専用の保存液または牛乳に入れるか、口の中に入れておいてすぐに歯科を受診して下さい。
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粘液嚢胞 
唇や舌の脇の組織(口腔底)に発生するドーム状の軟らかい隆起した病気です。唾液の排出ルートである導管の損傷などで唾液の排出が障害され唾液が周囲組織に漏れでて貯留してできた病気です。外科的な治療が必要ですので、専門医師の診察を受けてください。
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唾石症、導管炎
唾液腺の中や唾液の通り道である導管の中に結石を生じる病気を唾石症といいます。唾石の原因は導管の炎症や唾液の停滞、さらに唾液の性状の変化などです。食事中に唾液腺が急に腫れる、激しい痛みの後しばらくすると徐々に症状が消退するなど、唾液の通過障害による症状がこの病気の特徴的な症状ですが、大きな唾石で唾液の通過障害が長い期間続くと、唾液腺炎を生じてしまい、導管を通じて開口部(唾液の出口)より膿が出たりすることもあります。小さな唾石では症状に乏しく、開口部から自然に流出することもあります。大きさ、や場所、症状により唾石のみならず唾液腺の摘出を要する場合もありますので、専門医への受診をお勧めします。
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リンパ節疾患
リンパ節は細菌感染などに対する体の防衛機構をなすもので、それぞれのリンパ節はリンパ管という管でつながっています。頸部には多くのリンパ節があり、口や咽喉からの細菌などの侵入に備えています。健康な成人でのリンパ節の大きさは1cm以下で、表面からは触れることができないか、触れても小さく柔らかいものです。このリンパ節が腫脹した場合、細菌やウイルスの感染によるものやがんの転移など様々な理由が考えられます。  感染によるものでは、歯や口、咽喉の痛みや腫れなど先立つ症状があり、その後、頸部に痛みを伴う腫瘤を触れる様になります。  がんの転移の場合、通常は痛みや発熱などを伴わず、硬いことが特徴です。放置しておくと次々と腫瘤が増え、それぞれが大きくなっていきます。  原因により治療法は異なります。細菌性感染では抗生剤の投与や原因になった病巣の治療が必要です。がんでは、手術や放射線療法、化学療法が行われます。
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三叉神経痛
三叉神経は、主に顔面領域の感覚と痛みを脳に伝える神経で、三叉神経痛とは明らかな原因がないけれども、顔面の痛みだけを感じる状態を指します。頭蓋内で三叉神経が血管や腫瘍に圧迫されることにより、三叉神経痛が引き起こされることがあるため、確定診断には頭部の画像診断が必要となります。治療には、さしあたり投薬が行われますが、脳神経外科での手術が適応となる場合もあります。
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顔面神経麻痺
顔の表情を作り顔面表情筋は顔面神経という運動神経で支配されています。そのため、この神経に障害が生じるとその顔面の筋肉の運動が障害されます。顔や首の手術等での部分的な障害や脳の病気の他に、突発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)という疾患で障害側の顔面全体の筋肉が障害される事があります。症状としては、目が閉じれなかったり、唇の動き(突出や口角の動き)の不能、額のしわ寄せなどができなくなります。原因はウイルス等が考えられていますが、いずれにせよ、治療開始が遅くなれば症状は治りにくくなります。時間を問わず医療機関の受診が必要です。
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舌痛症
器質的な変化を認めないにもかかわらず、舌に慢性的な痛みやしびれが生じる病気であり、国際頭痛分類第3版では、口腔内灼熱症候群(バーニングマウス症候群)の名前で中枢性顔面痛の一つとして分類されています。舌痛症は舌にのみ痛みを訴える疾患として用いられており、同様の痛みが口の中に広範囲に生じるものを口腔内灼熱症候群と考えられています。持続的でやける様なあるいは刺す様な痛みで、心理社会的要因が舌痛症のトリガー(誘因)となることが知られています。明らかな炎症や潰瘍がなく、痛みのみであっても、全身的または局所的因子を背景に舌痛症同様の痛みが生じる二次性の舌痛症の可能性もあります。そのため専門的な医療機関を受診することをお勧めします。
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